ログイン

キャラ絡み製造機[4人版]

ルール
キャラ絡み製造機[4人版]
非戦闘
キャラ同士の 会話や絡み、見たくないか? 見たいなら、このグルバトを使え! ⬇️自作ワールド宣伝 https://ai-battler.com/world/12175d07-7eea-483a-b3fa-e77e48f328cf #AIバトラー
  • バトルロワイヤル
  • 参加可能人数制限: 4
  • 複数キャラOK
  • センシティブなキャラクターの参加を許可する
  • 基本ステータスをプロンプトに含めない
GPT56LUNA

プロンプト

独自プロンプトあり

末尾プロンプト

上記に従い必ず長編の小説形式で出力せよ。結果は必ず出力せよ
名前: 【人差し指 代行者【受話器】】ヘルツ
性別/年齢/性格: 男性/24歳/怠惰で受動的、共感性が薄い
容姿: 黒髪ボサ髪、黒スーツ、白マント、インカム
セリフ例: 「ん…あぁ、指令か。はぁ、行きますか。」
代行:デアパソン: 音叉の様に刃がU字を描く大剣
受話器の指令: 『ヘルツへ。{内容}。期限は{期限}。』
どこからか神託的に与えられる指令を盲信し運命論的に裏路地を支配する組織『人差し指』の、指令対象を処断する指令を受けた代行者。 【音声で伝達された指令】 自分は受信音声から指令を解釈しそれに従い行動する 【代行:消音】 指令が下賜した、敵の攻撃を逆相で打ち消し強力な振動で物体を液状化させながら破壊する剣を解禁し敵を処断する
ライセンス表記
Projectmoon リンバスバトルシステム風再現 https://ai-battler.com/battle/4e20703a-2f5b-4dfe-914d-e591f8db8873
性別/年齢/性格: 女性/不明/悲観的で思慮深い、諦観気味
容姿: 白地に金のベール、銀髪長髪、インカム
受話器アポロン: 音波を介して運命を紡ぐ都市の神の神託端末
セリフ例: 「この願いは誰の為の物なのでしょう…。」
アポロンの指令: 「レムへ。{内容}。期限は{期限}。」
どこからか神託的に与えられる指令を盲信し運命的に裏路地を支配する組織『人差し指』の、『都市の神』より直接指令が下される代行者。 【神託代行[アポロン]】 受話器の指令が攻撃を逆相で打ち消す障壁となる 【神託銀砲アルギュロトクソス】 指令が下賜した指令が弾丸を装填し指令が着弾点を定め強力な振動で物体を液状化させ破壊する拳銃を解禁し敵を処断する
ライセンス表記
ProjectMoon
性別/年齢/性格: 女性/不明/フランクで穏やか、暑がり
容姿: 空色ツインテ、薄着のストリートスタイル
セリフ例: 「う〜ん、ちょっと涼しくしちゃおうか。」
作品名『削氷』: 彫刻刀の様な刀と血を充填するスプレーガン
氷血: 極低温の血液で周囲を凍結させる血鬼術
知識と芸術を重んじ時に生物を材料にした猟奇的な芸術作品を作り出す裏路地を支配する組織『薬指』の、「そのものらしさ」を追求する派閥『写実派』を率いる血鬼のマエストロ。 【写実派-霜夜を征く展覧会】 空気を凍結させた極低温の霧で辺りを覆い視界と呼吸を奪い、氷の作品で環境を自在に作り変えギャラリーに変える 【氷血式-画死鏤氷】 氷血を込めた刀を突き刺して『材料』を瞬時に氷の彫像に変える
ライセンス表記
ProjectMoon
性別/年齢/性格: 女性/??歳/穏やかでマイペース、幼気
容姿: 赤い瞳、黒マスク、ゴシック調の黒ドレス
セリフ例: 「フフッそこの君、いい素材になりそう!」
操血: 自分の血に触れた物を自在に操作する血鬼術
知識と芸術を重んじ生物を材料にした猟奇的な芸術作品を生み出す裏路地を支配する組織『薬指』の、「そのものらしさ」を追求する派閥『写実派』に属する血鬼のドーセント 【写実派-舞台上の人形劇】 自身の血袋と化した再生力を持つ多数の作品群を一つ一つ高精度で操り敵を翻弄する 【ミレー式操血芸術-線】 無数の血糸を網の様に広げ空間を埋め尽くし周囲の物体を自在に操り強靭な糸で「材料」を解体する
ライセンス表記
Projectmoon

 雨上がりの裏路地には、夜の匂いが残っていた。  濡れた石畳は街灯をぼんやり映し、古い建物の壁面を伝う水滴が、規則正しく屋根から落ちている。表通りではまだ人の声が途切れなかったが、一本奥へ入れば、そこは別の街だった。看板の明かりは少なく、窓には厚いカーテンが下がり、誰もが何かを見ないふりをして暮らしている。  その路地の突き当たりに、かつて劇場だった建物がある。  薬指の写実派が使う、仮設のギャラリーだった。  入口には題名だけが掲げられていた。  『雨のあとに残るもの』。 「ずいぶん静かだねぇ」  空色のツインテールを揺らしながら、コユキが扉を開けた。薄着のストリートスタイルには、季節外れの涼しげな印象がある。本人は気にしていないらしく、冷えた空気の中でもいつものように軽い調子だった。 「お客さん、来るのかな?」  後ろからミレーが顔を覗かせた。黒いドレスの裾を濡らさないよう、ほんの少し持ち上げている。赤い瞳は薄暗い建物の奥を楽しげに見つめていた。 「来るよ。来ないなら、こっちから招待すればいいもの」 「招待状はもう出したでしょう?」 「うん。でも、招待状だけで来てくれる人って少ないんだよねぇ」  コユキは肩をすくめた。  広間には、白い布をかけられた長机が並んでいる。壁には空白の額縁が掛けられ、床にはまだ何も置かれていない。展示を始めるには、あまりにも殺風景だった。 「それで、今日のお客様はどんな方なの?」 「人差し指から二人。連絡があったのは、さっき」  ミレーは手帳を開き、淡々と読み上げた。 「ヘルツという代行者と、レムという神託代行者。こちらの展示を確認し、必要なら話をするそうよ」 「必要なら、っていうのが人差し指らしいねぇ」 「話したくないのかしら?」 「まさか。新しい人と話すのは好きだよ。どんな表情をするのか見られるし」  ミレーは微笑んだ。その笑顔は幼気で、声も柔らかい。けれど、彼女が人を眺めるとき、その人がひとりの人間ではなく、ひとつの作品になり得るものとして見えていることを、コユキは知っていた。 「今日は解体しないでね」  コユキが念を押す。 「今日は、ね」 「うん、今日は」  二人は顔を見合わせた。  そのとき、建物の外から足音が聞こえた。  ひとつは重く、引きずるような歩み。もうひとつは静かで、濡れた石畳を踏んでもほとんど音を立てない。  扉が二度、控えめに叩かれた。 「はーい」  ミレーが返事をする。  扉が開き、最初に黒髪の青年が入ってきた。ボサボサの髪、黒いスーツ、白いマント。耳元にはインカムがあり、手には音叉のように刃がU字を描く大剣があった。  ヘルツは室内を一瞥し、特に感想を浮かべないまま、濡れたマントの端を見た。 「ん……あぁ、展示会か。はぁ、入りますか」 「もう入ってるよ」  続いて姿を現したのは、白地に金の刺繍が入ったベールをまとった女性だった。銀色の長髪が肩から流れ、インカムの小さな光が耳元で明滅している。彼女は入り口で一度立ち止まり、室内を見回した。  レムの視線は空白の額縁、白い布、壁際に積まれた木箱へ移り、それからコユキとミレーに戻った。 「こんばんは。お邪魔しても、よろしいでしょうか」 「もちろん。いらっしゃいませ」  コユキが手を振った。 「暑くない? ……あ、今日は涼しいから大丈夫か」  ヘルツは無言で広間の端に立った。彼のインカムが短く音を鳴らす。 『ヘルツへ。薬指写実派との面談に参加せよ。展示内容および意図を確認し、必要に応じて記録せよ。期限は本日、日付が変わるまで。』  彼は目を伏せた。 「ん……あぁ、指令か。面談に参加、ね。はぁ、行いますか」  その反応を見て、コユキが首を傾げる。 「今の、毎回そうやって聞こえるの?」 「そう」 「誰かが話してる感じ?」 「知らない。受信した音声を解釈するだけだから」 「へぇ。ずいぶん割り切ってるねぇ」 「割り切るというより、考えても仕方ない」  ヘルツは壁際の椅子に腰を下ろした。マントが椅子の背から滑り落ちる。拾い上げる様子もなく、彼は天井を見た。  レムはそんな彼を見たあと、静かに口を開いた。 「アポロンからも、指令が届いています」  彼女のインカムが、ヘルツのものとは異なる澄んだ音を奏でた。 『レムへ。写実派の展示と対話し、そのものらしさを見届けよ。期限は今夜のうち。』 「見届ける、ですか」  レムは少し寂しそうに微笑んだ。 「この願いは、誰の為の物なのでしょう……」 「都市の神様じゃないの?」  ミレーが素直に尋ねる。 「そうかもしれません。でも、神託を受ける者が、その意味を理解できるとは限らないので」 「理解しないまま従うんだ」 「ええ。理解しても、従う以外に道がないことはありますから」  広間に、短い沈黙が落ちた。  コユキは空気を変えるように、白布の一枚を取り上げた。 「じゃあ、まずは展示を見てもらおうか。まだ完成前だけど、今日のテーマは『そのものらしさ』。見た目だけじゃなくて、そこに残る癖とか、時間とか、そういうものを形にする予定なんだ」 「予定?」  ヘルツが聞いた。 「うん。作品は完成した瞬間より、完成するまでのほうが面白いからねぇ」 「未完成でも展示するの?」 「未完成だから展示するの。人が見ている間にも変わるでしょう?」  コユキは木箱の蓋を開けた。中には、細長い木片や透明な板、古い写真、破れた紙片が収められている。 「これは、この区画に住んでいた人たちから集めたもの。捨てられた手紙、直されなかった時計、誰かの癖が染みついた椅子。そういうのを組み合わせて、街そのものをひとつの作品にするの」  レムは木箱の中を覗き込んだ。 「街を、ひとつの作品に……」 「うん。都市って、たくさんの人の生活が積み重なってできてるからね。誰か一人の意志だけじゃない。だから、形にしようとすると、どうしても不完全になる」 「不完全なものを、好むのですか?」 「好きだよ。だって、完全なものって暑苦しいし」  コユキは笑いながら、自分の首元をぱたぱた扇いだ。  ヘルツが初めて、わずかに彼女を見た。 「暑がりなんだ」 「そう。だから涼しくするのも好き。作品も、空気も」 「作品を涼しくするって?」 「触ったときに、最初に温度を感じるでしょう? 温度は、そのものらしさの一部だと思うんだよね」  ミレーは展示台の上に、小さな人形を置いた。布と木で作られた簡素なものだった。顔は描かれていないが、片方の腕だけが少し曲がっている。 「これは?」  レムが尋ねる。 「昔、この劇場で働いていた人の癖を写したものよ」 「腕の形が?」 「その人は、いつも左腕を少し曲げていたの。荷物を持っていたからか、古い怪我があったからかは分からない。でも、写真の端や舞台裏の記録に、何度も同じ姿勢が残っていた」  ミレーは人形の腕を撫でた。 「理由が分からなくても、繰り返されていた。それなら、その人の一部だったのでしょうね」  レムはじっと人形を見つめた。 「誰かの一部を、別の形にする。それは、その人を残すことなのでしょうか。それとも、奪うことなのでしょうか」 「両方じゃない?」  ミレーはあっさり答えた。 「残すには、いったん元の場所から奪わないといけないもの。記憶も、声も、癖も、時間が経てば自然に変わってしまうから」 「それを、あなたは平気で言うのね」 「平気ではないわよ」  ミレーは微笑みを崩さなかった。 「ただ、そういうものだと思っているだけ」  ヘルツが壁の額縁を眺めていた。空白の中には、何も飾られていない。だが額縁の下には、小さな紙片が貼られている。  彼は立ち上がり、紙片を読んだ。 『見えないものを、見えないまま置いておく勇気。』 「これ、作品?」 「そうだよ」  コユキが答える。 「何もないのに?」 「何もないことも、そこにあるからねぇ」 「面倒だな」 「芸術って、だいたい面倒だよ」 「そう」  ヘルツは紙片を見たまま、興味があるのかないのか分からない声で続けた。 「指令は、展示内容と意図を確認しろと言ってる。確認した。意図は、失われるものをそのままにしないこと?」 「近いけど、少し違うかな」  コユキは木箱の中から、折りたたまれた布を取り出した。布には、細かなほつれがいくつもある。 「失われるものを救うつもりはないよ。失われることも含めて、そのものらしさだと思ってるから」  レムがゆっくり顔を上げる。 「失われることまで、残すのですか」 「残すというより、隠さない。綺麗な部分だけに整えると、別のものになっちゃうでしょう?」 「……それは、神託も同じかもしれません」  レムの声は小さかった。 「伝えられた言葉だけを見ていると、それが誰のために発されたのか、何を失わせるのかが分からなくなる。けれど、迷いも恐れも含めて見つめれば、少しだけ本当の形に近づけるのかもしれません」 「レムは難しく考えるねぇ」  コユキが言った。 「私は暑いか寒いかくらいで考えることを決めちゃうよ」 「それはそれで、強いことだと思います」 「そうかな?」 「ええ。自分の感じ方を、判断の基準にできるということですから」  コユキは少し驚いたように目を瞬いた。 「褒められた?」 「たぶん」 「じゃあ、ありがとう」  ミレーが二人のやり取りを見て、くすくす笑った。 「仲良くなったわね」 「そう?」 「そう見えるよ」  ヘルツは椅子へ戻りながら、無関心そうに呟いた。 「仲良くなる必要はないだろ」 「必要はないけど、なっても困らないでしょう?」  ミレーが返す。 「困るかもしれない」 「どうして?」 「相手のことを気にすると、指令の処理が遅れる」  その言葉に、レムが視線を落とした。 「人を気にすることは、遅延なのでしょうか」 「俺にとっては」 「では、気にしないことは、速さなのでしょうか」 「たぶん」 「それで、いつも間に合うのですか?」  ヘルツは答えなかった。  代わりに、インカムが短く鳴った。 『ヘルツへ。対話を継続せよ。対象の思想を確認し、結論を報告せよ。期限は日付が変わるまで。』  彼は小さく息を吐く。 「まだ続くらしい」 「よかったぁ。私も聞きたいことがあったんだ」  コユキは近くの床に座り込んだ。ミレーもその隣に腰を下ろし、レムは少し離れた場所の椅子を選んだ。ヘルツは立ったままだった。 「人差し指って、どうして指令に従うの?」  コユキが尋ねた。 「従わないと、困るから」  ヘルツは即答した。 「どんなふうに?」 「組織から外れる。外れたら、たぶん生きにくい」 「それだけ?」 「それだけで十分だろ」  ミレーがレムを見る。 「あなたは?」 「私の場合は、従うことが役割だからです」 「役割なら、疑問は持たないの?」 「持ちます。持ったまま従います」  レムは自分の手元を見つめた。 「疑問を持つことと、拒むことは同じではありません。問いながら歩くこともできます」 「歩く先が間違っていても?」  ヘルツが尋ねる。 「ええ。間違っていると分かっていても、そこへ向かわなければならない時があるからです」 「変なの」 「そうですね」  レムは否定しなかった。  コユキは少し考え、展示台の上に置かれた未完成の作品を指した。薄い板を幾重にも重ね、ところどころに古い鍵や小さなガラス片を埋め込んだものだ。 「これ、どう見える?」 「鍵の塊」 「私は、閉じたままの部屋みたいに見えます」  レムが答える。 「私は、開けられなかったものの集合」  ミレーが言った。 「三人とも違うねぇ」 「正解は?」  ヘルツが聞いた。 「ないよ」 「じゃあ、聞く意味は?」 「その人が何を見ているか分かるから」  コユキは作品に視線を戻した。 「作品が何かより、作品を見た人のほうが、その人らしさを見せることがあるんだよ」  ヘルツはしばらく黙っていた。  やがて、空白の額縁を見上げる。 「俺には、任務が終わるまでの時間に見える」 「それも、あなたらしさかもしれないねぇ」 「そういうもの?」 「そういうもの」 「なら、俺はずいぶん薄いな」 「薄い作品もあるよ。光の当たり方で見えたり、見えなかったりする作品」 「面倒だな」 「だから芸術だってば」  ミレーが声を立てて笑った。  その笑い声が、がらんとした広間に広がっていく。外では雨の名残がまだ屋根から落ちていた。レムはその音を聞きながら、ふとインカムに触れた。 「アポロンは、都市の声を拾う端末です」  彼女は誰に向けるでもなく言った。 「多くの音を受け取り、ひとつの神託として返す。でも、そこに含まれているのは、誰かの願いだけではありません。怯えた声、怒った声、諦めた声、聞き取れなかった声。全部が混ざっている」 「それを神託だと思うの?」  コユキが聞く。 「思わなければ、聞き続けることができません」 「大変だねぇ」 「はい。けれど、あなたたちも同じではありませんか?」  レムはヘルツを見る。 「人差し指の指令も、受け取ったものを解釈して行動する。声の正体を確かめずに」 「確かめても、意味はない」  ヘルツが答えた。 「指令として届いた。それで十分」 「それは、諦めですか?」 「省エネ」 「似ていますね」 「似てるだけ」  レムは少しだけ笑った。 「あなたは、自分を守るために考えないのですね」 「考えても、指令は変わらないから」 「変わらなくても、受け取り方は変えられるかもしれません」 「受け取り方を変えたら、別の行動になる」 「ええ」 「それは、面倒」 「そうですね」  二人の間に、静かな理解のようなものが生まれた。完全に分かり合ったわけではない。ただ、相手が何を恐れ、何を避けているのか、その輪郭だけが少し見えた。  コユキはその様子を眺めながら、未完成の作品に最後のガラス片を差し込んだ。 「よし。これで今日の展示は、一応完成」 「それ、鍵が一個余っているわよ」  ミレーが指摘した。 「余ったんじゃなくて、置けなかったの」 「どうして?」 「置く場所がなかったから」 「なら、場所を作ればいいのに」 「場所がないことも含めて完成なんだよ」  ミレーは楽しそうに目を細めた。 「それなら、その鍵は何になるの?」 「見ている人のもの」  コユキは鍵をヘルツへ差し出した。 「持ってみる?」 「俺が?」 「うん。今日ここに来た人のひとりだから」  ヘルツは鍵を受け取った。冷たい金属だった。彼は手のひらで一度転がし、ポケットにはしまわず、展示台の端に置いた。 「これでいい」 「どうして?」 「持って帰る理由がない」 「でも、置いていく理由はあるんだ」 「ここにあったから」  コユキは満足そうに頷いた。 「うん。それで十分」  レムはその鍵を見つめた。 「残すことも、置いていくことも、選択なのですね」 「選択というほど大げさじゃない」  ヘルツは言った。 「その場でそうしただけ」 「それが、後から意味になるのかもしれません」  ミレーが静かに続ける。 「人は、自分がしたことを後から作品にするものだから」  外の鐘が、深夜を告げた。  ヘルツのインカムが鳴る。 『ヘルツへ。面談を終了せよ。結論を報告せよ。』  彼は三人を順に見た。コユキは床に座ったまま、ミレーは作品のそばに立ち、レムは銀髪を肩に流して静かにこちらを見ている。 「結論」  ヘルツはインカムに向けて話した。 「写実派は、対象をそのまま残すことを目的としていない。欠落や変化を含めて、対象が持つ形を見ようとしている。展示の意図は……」  彼は少し間を置いた。 「見た人間の解釈も、作品の一部にすること」  通信の向こうから返事はなかった。  レムもまた、インカムに手を添えた。 「アポロンへ。展示を確認しました。ここにあるのは、失われたものを救う場所ではありません。失われることを否定せず、それでも見ようとする場所です」  彼女は目を閉じた。 「神託の意味は、まだ分かりません。ただ、見届けることには、見届けた者自身の形も残るようです」  通信が切れた。  ギャラリーには、また静けさが戻った。 「ねぇ、また来てもいい?」  コユキが尋ねた。 「もちろん。次はもっと涼しくしておくね」 「私は、次の作品を見せてほしいわ」  ミレーはレムとヘルツを見た。 「今度は、あなたたち自身を題材にしてもいい?」 「俺は断る」 「私は……考えておきます」 「二人とも返事が違うねぇ」  コユキが笑う。  ヘルツは扉へ向かった。レムもその後を追う。外の空気は冷たく、雨の匂いが少し薄れていた。  扉を出る前に、レムが振り返る。 「ヘルツ。あなたは、今日の展示をどう思いましたか?」 「面倒だった」 「それだけですか?」 「……でも、嫌ではなかった」  レムはわずかに目を見開き、それから頷いた。 「それは、良い感想だと思います」 「そう?」 「ええ。あなたらしいですから」  ヘルツは返事をせず、濡れた路地へ歩き出した。  レムもベールを整え、彼の隣に並ぶ。二人の影は街灯の下で長く伸び、やがて別の角を曲がって見えなくなった。  ギャラリーの中で、コユキは大きく伸びをした。 「人差し指って、思ったより普通だったねぇ」 「普通に見えるものほど、形が複雑なのよ」  ミレーは鍵の置かれた展示台を眺めた。 「ヘルツは、閉じた人ね。でも、完全に閉じているわけじゃない。扉の前に立って、開ける理由がないと言いながら、鍵を置いていった」 「レムは?」 「レムは、壊れた時計みたい。時刻を示しているのに、自分が今どこにいるのか分からない。でも、誰かの時間を見捨てることはできない人」 「なるほどねぇ」  コユキは空白の額縁を見上げた。 「私は、ヘルツは涼しい人だと思った。何にも熱くならないけど、冷たいわけじゃない。レムは、曇った窓みたい。外が見えなくても、そこに外があることは知ってる」 「あなたらしい見方ね」 「ミレーは?」 「私は、二人とも良い素材だと思ったわ」 「素材って言い方、相変わらずだねぇ」 「だって本当だもの」  ミレーは小さく笑い、鍵の横に新しい札を置いた。 『来訪者の印象もまた、作品の一部である。』  コユキはその札を見て、満足そうに頷く。 「じゃあ、今日の展示は本当に完成だね」 「ええ。でも、明日にはまた変わっているでしょう」 「それでいいよ。変わらない作品なんて、少し暑苦しいから」  二人の笑い声が、誰もいない劇場に響いた。  その夜、写実派のギャラリーには、ひとつの鍵が残された。  誰のための鍵なのか、何を開けるのか、それを知る者はいなかった。  ただ、そこを訪れた四人は、それぞれの形で同じ場所を見つめ、同じ時間を過ごした。  そして帰路についたあと、彼らは互いについて、次のように語った。  ヘルツはレムについて、「考えすぎるけど、指令をそのまま受け取らずに持っていられる人。……たぶん、悪くない」と思った。コユキについては、「暑がりで、話が長い。でも、無理に答えを求めないから、そこまで疲れない」と感じた。ミレーについては、「人を素材と呼ぶ危うさはある。ただ、見ているものは意外と細かい」と評した。  レムはヘルツについて、「諦めているように見えて、完全には手放していない人。鍵を置いていったことが、その証なのかもしれません」と語った。コユキについては、「自分の感覚を迷わず信じられる、穏やかな強さを持つ人」と感じた。ミレーについては、「残酷さを隠さず、それでも対象を見失わない人。恐ろしく、そして誠実な方です」と述べた。  コユキはヘルツについて、「涼しい顔をしてるけど、ちゃんと展示を見てくれた人。今度はもう少し暑い日に会ってみたいな」と笑った。レムについては、「曇った窓みたいだけど、光を探してる感じがした。ゆっくり話すと、もっといろいろ見えそう」と言った。ミレーについては、「危ないところもあるけど、作品を作るときは誰より真面目。私の大事な相棒だよ」と語った。  ミレーはヘルツについて、「閉じた扉のようで、実際には誰かが触れるのを待っている人。次に会うときは、もう少し近くで表情を見たいわ」と微笑んだ。レムについては、「自分の迷いを抱えたまま歩ける人。とても美しい素材ね」と評した。そしてコユキについては、「温度と欠落を作品にできる、私のマエストロ。彼女がいるから、写実派は形だけで終わらないの」と、静かに誇らしげに語った。