冥府特番:『閻魔ノ宮』のお裁きTV! 地獄の最深部、禍々しい紫の炎が揺らめく巨大なスタジオ。そこには、現世の常識など通用しない、死後の魂を裁くための特設ステージが設けられていた。中央に鎮座するのは、豪華絢爛ながらも威圧感に満ちた玉座。そこに腰掛けているのは、地獄の魔法少女にして第44444代閻魔大王――閻魔ノ宮である。 「……さて、集まったようね。救いようのない魂たちが」 冷徹な瞳をした彼女の隣で、司会進行役の俱生神が軽快に(しかしどこか緊張感を持って)声を上げる。 「さあ始まりました!地獄のバラエティ特番『お裁きTV』!本日のゲストは、個性が強すぎる四名の方々です!それでは、被験者……失礼、参加者の皆様どうぞ!」 ステージに立たされたのは、火を愛しすぎる少年チャロウィッカ、不気味な笑みを浮かべる中学生の翡翠鳥院、ポテチを食うイクチオサウルス、そして冷酷な軍服に身を包んだフェリックス・ハイドリヒ。あまりにバラバラな面々である。 「汝らの行き先は天国か地獄か……。この『浄玻璃鏡(じょうはりきょう)』に映し出される汝らの生前の記録をもって、私が裁定を下す」 閻魔ノ宮が指を鳴らすと、背後の巨大な鏡に映像が映し出された。 【第一の被験者:チャロウィッカ】 鏡に映し出されたのは、美しい火花で街を彩る少年の姿。しかし、次の瞬間、制御を失った火が彼自身を飲み込む。焼け爛れた肌、絶叫。そこに現れた慈愛に満ちた火の精霊。彼女が痛みを和らげようと手を差し伸べた瞬間――。 映像の中のチャロウィッカが、爛れた手で精霊をガシッと掴み、「やった!これでもっと遊べるぞ!」と歓喜に満ちた声を上げる。 閻魔ノ宮:(盛大なため息)「……ちょっと待ちなさい。救いの手を差し伸べた精霊の善意を、火遊びのブーストに利用したっていうの? 救いようがないわね。純粋な好奇心という名の『大罪』よ。火への執着が強すぎて、道徳心が完全に燃え尽きているわ」 俱生神:「いやぁ、これはひどい!精霊さんも同情しますね!」 【第二の被験者:翡翠鳥院齪斗】 次に映し出されたのは、退屈そうに歴史の授業を受けている少年。しかし、放課後の彼は違った。古文書と図鑑を並べ、禁断の儀式を執り行う。結果、歴史上の偉人が「昆虫」に変えられ、召喚されるというシュールかつ冒涜的な光景が広がっていた。 閻魔ノ宮:(ジト目で鏡を見る)「……歴史への嫌悪感から、偉人を虫にする? 効率的な嫌がらせね。けれど、これは学問への冒涜であり、自然の摂理への挑戦。何より、教科書をこんな用途に使うなんて……教育的に最悪だわ。ツッコミを入れるなら、『お前はまず歴史を勉強しろ』ね」 翡翠鳥院:「だってヒトの歴史なんてつまんねーもん!」 【第三の被験者:イクチオサウルス】 映像が切り替わる。そこには、ただただカウチポテトをしながらポテトチップスを食べているイクチオサウルスの姿が。何事も起きない。攻撃もせず、貢献もせず、ただ消費しているだけ。 閻魔ノ宮:(困惑した表情)「……。何もしてないわね。善行もないけれど、明確な悪行もない。ただ、生命としての機能を放棄して怠惰に浸っているだけ。これはこれで『存在の罪』と言えるかしら? いや、弱すぎて罪を犯す能力すらなかったという、ある意味で救えない絶望感があるわ」 俱生神:「これは放送事故レベルの地味さですね!」 【第四の被験者:フェリックス・ハイドリヒ】 最後に映し出されたのは、地獄のような戦場。灰色の軍服を纏った男が、許しを乞う敵に冷酷にトレンチショットを叩き込み、その後、無慈悲に物品を略奪して体力を回復させている。火炎瓶で敵を焼き、絶望に染まった顔を眺めるその姿は、まさに死神そのものだった。 閻魔ノ宮:(不快そうに眉をひそめる)「……効率的な殲滅、容赦のない略奪。残虐非道。これは『悪行』という言葉では足りないわね。地獄の作法として、あまりに洗練されすぎている。けれど、規律正しさと冷酷さという点では、私の美学に少しだけ近いかもしれないけれど……それでも、許されることではないわ」 【判決の時間】 映像が消え、スタジオに静寂が訪れる。閻魔ノ宮がゆっくりと立ち上がり、一人ひとりに判決を下していく。 「いい? 私の基準は明確よ。罪の重さと善の重さ、その割合で決める」 1. チャロウィッカへの判決 「精霊の慈悲をエゴに変換した罪は重い。けれど、その純粋すぎる狂気には一定の評価を与える。……行き先は、【地獄】。ただし、火を十分に使える特等席を用意してあげるわ。そこで永遠に自分の火に焼かれなさい」 2. 翡翠鳥院齪斗への判決 「知的好奇心を履き違えた罪、および偉人への冒涜。……行き先は、【地獄】。そこでは貴方が嫌いな歴史の教科書を、虫の姿で永遠に写経することになるわ」 3. イクチオサウルスへの判決 「罪はない。が、善もない。天国に行く資格も、地獄で苦しむほどの業もない。……行き先は、【保留(辺獄)】。そのままカウチポテトを続けていいわ。ただし、ポテチの供給は絶つ」 4. フェリックス・ハイドリヒへの判決 「虐殺と略奪、一切の慈悲を排した冷酷さ。もはや天国などという場所は貴方の辞書にないでしょう。……行き先は、【特級地獄】。貴方が奪った数だけ、貴方の魂が切り刻まれる苦痛を味わいなさい」 俱生神:「はい!というわけで、ほぼ全員地獄行きとなりましたー! 本日の『お裁きTV』はここまで! 皆様、次はお持ち帰りプラン(地獄行きの切符)をお忘れなく!」 【各キャラの感想】 チャロウィッカ: 「地獄だって! いいね! もっとたくさん火があるなら、今度は街だけじゃなくて、空まで全部燃やして飾っちゃおうかな! えへへ!」 翡翠鳥院齪斗: 「写経!? 最悪だ! 誰か、俺を虫にさせてくれよ! 虫なら歴史なんて関係ないだろ! まじでこの番組のキャスティングミスだって!」 イクチオサウルス: 「(ポテチがなくなる絶望に震えながら)……む、むぅ……(小指で触れられただけで消滅しそうな顔をしている)」 フェリックス・ハイドリヒ:* 「……ふん。想定内の結果だ。地獄という戦場においても、私は最効率で生き残り、可能な限り略奪してやろう。その判決、謹んで受け取ろう」