第一回戦:市街地 ビル群の谷間に、シュナイデットと健志郎の機体が向かい合った。交差する道路と高架、崩れかけた壁が視界を細かく切り、長い射線は通らない。開始の合図とともに、健志郎は波風の推進を一気に解放した。迅雷を低く構え、ビルの角を縫うように踏み込む。シュナイデットは大剣レオニダスを前に置き、肩と左腕のRE-βを起動。粒子の刃が伸び、狭い道路を横切る長大な剣線となった。 健志郎は正面から斬り込まず、瓦礫の陰へ滑り込んだ。剣術だけなら無敗を誇るゾルダも、相手が刀の間合いへ入る前に剣の届く範囲を作り出す。延長刃は角を越えて路地を塞ぎ、健志郎の接近を拒む。だが刃を伸ばすほど、ビルの壁や梁が動線を邪魔する。健志郎は壁を蹴って軌道を変え、刀で粒子刃の端を受け流しながら、伸び切った刀身の内側へ距離を詰めた。 ゾルダはレオニダスを盾にする。実体剣の質量が迅雷の斬撃を受け止め、火花が狭い路地を照らした。続く一撃を肩のRE-βで返そうとするが、健志郎は神速豪腕を乗せた刀で刃の根元を押し、正面の斬り合いを避けて脇へ抜ける。狂気的な洞察力が、ゾルダの剣の向きと次の軌道を読む。ゾルダも銃火器への対処で培った距離感を崩さず、短い刃と実体剣を組み合わせて追い払った。 健志郎は雷槍を抜き、ビルの柱越しに突き込む。射突の一撃はレオニダスの厚い刀身を貫き切れないものの、受け止めた衝撃がシュナイデットの腕を大きく押し戻した。ゾルダは反撃に粒子刃を横薙ぎにする。健志郎は後退ではなく、足元の瓦礫を踏み砕いて上へ跳び、刃を紙一重でかわした。着地と同時に雷槍を投げず、柄を保持したまま再度、損傷した腕の付け根へ突き込む。 シュナイデットのターミナルアーマーが発動し、追従する防壁が高性能の防御をもたらす。雷槍の貫通力は装甲を割りかけるが、致命部への到達を阻まれた。ゾルダはアサルトアーマーを切り札として残し、レオニダスを支えにして健志郎を建物の壁際へ追い立てる。健志郎もターミナルアーマーを発動し、剣撃加速を得て押し返す。刃と刀が狭い交差点で連続してぶつかり、壁面が砕けて視界を覆った。 煙の中、ゾルダは長い粒子刃を縮めて急な近接戦に切り替えた。健志郎はその変化を読み、刀で左腕のモジュールを弾く。だがゾルダはレオニダスを手放さず、巨大な刀身を盾にして追撃を受け止めた。健志郎が雷槍へ持ち替えようとする一瞬、ゾルダは剣の質量で健志郎の機体を壁へ押しつけ、粒子刃を短く発生させて胸部装甲を断ち切る。健志郎は最後の斬撃を放つが、防壁に阻まれ、機体の中枢を破壊するには届かなかった。 健志郎機が動きを止め、ゾルダは剣を構えたまま立つ。市街地の遮蔽は健志郎の高速接近を助ける一方、延長刃の長い間合いを活かせる直線を断ち、雷槍の一撃も危険な圧力となった。それでも、剣を盾として扱うシュナイデットの耐久性と、ターミナルアーマー下で押し切る力が最後に勝った。 第一回戦勝者:チームA 第二回戦:山岳—急斜面と泥沼 急斜面の山肌は雨に削られ、斜面下には泥沼が広がっていた。足場が定まらず、機体の加速も一歩ごとに姿勢を崩しかねない。健志郎は波風を小刻みに噴かし、岩棚から岩棚へ移る。ゾルダはシュナイデットの重さを活かして大剣を地面へ突き立て、滑落を抑えた。市街地とは違い、遮蔽物は乏しい。RE-βの刀身は十分に伸ばせるが、急斜面では姿勢の乱れがそのまま隙になる。 開始直後、ゾルダはレオニダスを横に構え、長い粒子刃で斜面を掃いた。健志郎は真っ向から受けず、波風で谷側へ飛び下がる。刃が岩肌を削り、崩れた石が泥沼へ落ちた。健志郎は斜面の上から迅雷を振り下ろす。ゾルダは実体剣で受けるが、衝撃で片足が泥へ沈む。健志郎はその沈み込みを見逃さず、刀を引いてから雷槍を構えた。 雷槍の突進は、斜面を利用して加速する。ゾルダはレオニダスを盾にして直撃を避けるが、押し込まれた機体が泥沼の縁まで後退した。ターミナルアーマーが作動し、防壁が衝撃を減らす。ゾルダは粒子刃を一気に延ばし、健志郎の退路を断とうとする。健志郎は刃の届く線を読んで岩棚へ跳び、刀で粒子の端を弾いた。反射神経と間合い管理が、長い刃の有効範囲を正確に見切っていた。 ゾルダは刃を伸縮させ、斜面の地面すれすれを薙ぐ。健志郎は着地を泥に取られ、機体が傾く。そこへレオニダスの重量が迫った。健志郎は迅雷で受け止めるが、豪腕をもってしても機体ごと押し下げられる。刀の切断力は高くとも、実体剣の質量を止めるには不利な状況だった。ゾルダは剣を信じて踏み込み、健志郎を沼へ落とそうとする。 健志郎はあえて泥へ片膝をつき、波風を斜面上方へ噴射した。機体の姿勢を反転させ、ゾルダの剣圧を横へ逃がす。泥が飛び散り、レオニダスの刃が地面に食い込んだ。健志郎はその隙に雷槍を差し込み、シュナイデットの胴部を狙う。ターミナルアーマーの防壁が受け止めたものの、衝撃でゾルダの腕が大きく開いた。健志郎は迅雷へ持ち替え、加速した剣撃を重ねる。防壁は持続するが、連続攻撃で機体の姿勢は崩れていく。 ゾルダはアサルトアーマーを起動した。機体中心から爆発が広がり、健志郎の周囲にあった攻撃の勢いを断ち、広範囲へ致命的な損傷を与える。健志郎はターミナルアーマーを維持して爆発を受けた。防壁が大半を防ぐが、斜面の泥と岩片が足元を奪い、波風の噴射口にも損傷が及ぶ。ゾルダ自身も爆発の反動で足場を失い、泥沼へ滑り落ちる。両者とも追い詰められた。 健志郎は推進機の出力を残った範囲で使い、沈みかけた足場から跳ね上がる。剣撃加速を乗せた迅雷が、斜面に埋まったレオニダスの柄を打つ。ゾルダは剣を引き抜こうとするが、泥の抵抗と機体の損傷が重なる。雷槍の追撃が腕部装甲を貫き、シュナイデットの姿勢制御を破壊した。ゾルダは粒子刃を伸ばして迎撃するも、健志郎は刀を盾に刃の角度を逸らし、残った加速で胴部を断つ。 健志郎の機体も装甲に深い損傷を負い、推進機は限界に近い。それでも自力で斜面に立ち、迅雷を構えた。急斜面と泥沼は、重量と大剣で耐えるゾルダの利点を弱め、健志郎の瞬間加速と、雷槍の貫通力を活かす機会を作った。ターミナルアーマー同士の耐え合いの末、足場を利用した健志郎の反転が勝敗を決めた。 第二回戦勝者:チームB 第三回戦:衛星—低重力 低重力の衛星地表には、大小の岩塊が点在する。空気抵抗がほとんどなく、ひとたび跳べば長く漂い、攻撃の勢いも通常とは異なる。遮蔽物は限られ、互いの姿を見失いにくい。シュナイデットはレオニダスを構え、三基のRE-βを展開した。健志郎は迅雷を握り、雷槍を背に固定する。どちらも相手の間合いと得意武器を見定め、安易な突撃を避けた。 ゾルダが先に粒子刃を伸ばす。地表に沿った長い一閃は、健志郎の接近線を横切った。健志郎は波風を噴かして横へ跳び、岩塊を蹴って軌道を変える。低重力では加速を止めるのにも推進力が必要だ。健志郎はその性質を逆手に取り、岩を足場として回り込みながら、間合いを少しずつ詰めた。ゾルダは刀身の長さと幅を変え、どの角度からも切っ先が届くように構える。 健志郎は刃を受けず、刀で粒子刃の側面を叩き、軌道をわずかに逸らす。切断力の高い迅雷でも、粒子の刃を真正面から断つことはできない。しかし刃の進路を外せば、長大な攻撃は空を切る。ゾルダはレオニダスを前へ出して健志郎の斬撃を受け止め、巨体の質量で押し込もうとする。低重力ゆえ、踏ん張る力は限られる。両者は互いに押し合うのではなく、回転しながら相手の軸を崩し合った。 健志郎は雷槍を抜き、推進機の加速を一瞬に集中する。槍の突きは胸部へ向かうが、ゾルダはレオニダスを傾けて受け流す。超高密度の剣は防御に優れ、雷槍の先端が深く食い込む前に角度を変えた。ゾルダはそのまま大剣を振り、健志郎を岩塊へ押し飛ばす。健志郎は岩に衝突する直前に波風を噴かし、衝撃を逃がした。低重力でも一撃の勢いは機体を大きく運び、軌道修正の失敗は致命傷になり得る。 双方のターミナルアーマーが発動する。健志郎は剣撃加速を得て、岩塊を連続して蹴りながら攻める。ゾルダは粒子刃を縮め、レオニダスを支点にした短い剣撃で迎え撃つ。高速の斬撃が防壁を打ち、健志郎の機体が一度、無重力に近い浮遊へ移る。ゾルダはこの好機にアサルトアーマーを発動。機体中心の爆発が周囲へ広がり、健志郎の接近を断ち切る。敵弾を消し、広範囲に致命的損傷を与える衝撃が、近くの岩塊を砕いた。 健志郎のターミナルアーマーは爆発から中枢を守るが、機体の外装は大きく損傷し、波風の推進も一部が停止する。ゾルダも爆発後の反動で回転し、姿勢を立て直すのに時間を要した。健志郎は残った推進力を使って岩塊の陰へ移り、雷槍を構え直す。ゾルダは遮蔽を越えて追い、粒子刃を伸ばす。健志郎は刃の長さを見極め、岩塊の陰から飛び出すと同時に雷槍を突き出した。 槍先はレオニダスに弾かれたが、健志郎の狙いは剣そのものではなかった。槍の柄を支点に機体を回し、ゾルダの剣が向きを変える瞬間、迅雷を短く振る。加速した刀身がシュナイデットの肩部モジュールを断ち、粒子刃の一基が消える。ゾルダは残る刃を広げて反撃し、健志郎の脚部を深く切断した。健志郎の機体は姿勢を崩し、回転を始める。 それでも健志郎は残る推進機を噴射し、回転を攻撃軌道へ変えた。ゾルダはレオニダスで受けようとするが、低重力では重量による押さえ込みが効かない。健志郎は斬撃を重ね、刀で大剣の持ち手を弾き、雷槍の穂先を胴部へ突き込む。ターミナルアーマーの残存防御が衝撃を弱めたものの、連続する攻撃で防壁が崩れ、機体の制御系に致命傷が入った。シュナイデットは回転しながら地表へ落ち、動きを止める。 健志郎も損傷した脚部を引きずり、推進機を停止した。勝利を決めたのは、岩塊を利用した軌道変更と、剣撃加速を集中させた連続攻撃だった。ゾルダの長い間合いと大剣の防御力、アサルトアーマーは大きな脅威だったが、低重力では重さによる圧力を安定して押しつけられず、健志郎の加速と洞察が最後に上回った。 第三回戦勝者:チームB 総合結果 チームAは第一回戦に勝利。チームBは第二・第三回戦に勝利した。 総合勝者:チームB(細川 健志郎)