王国冒険者ギルドの影なる協議 王国首都の喧騒から少し離れた石造りの建物、それが冒険者ギルドの本部だ。外壁には無数の剣痕と魔法の焦げ跡が刻まれ、歴戦の冒険者たちの足音が絶え間なく響く。ギルドの内部はいつも賑やかで、依頼板の前で酒を酌み交わす者、武器を磨く者、傷を癒す者たちが入り乱れている。しかし、この日、ギルドの奥深く、職員専用の会議室は静寂に包まれていた。 会議室は地下に位置し、厚い鉄扉で守られた狭い空間。壁は魔法の結界で覆われ、外の雑音が一切届かない。中央に置かれた重厚なオークのテーブルを囲むように、四人の職員が座っていた。彼らはギルドのベテランたち――ギルドマスターの代理を務めるエルドリック、情報担当のシーラ、戦闘評価の専門家ガレン、そして財務を司る老練の会計士トマスだ。テーブルの上には、四枚の手配書が広げられていた。それぞれが、王国諜報部から直々に届けられた極秘文書。封蝋には王家の紋章が押され、開封の際には厳重な呪文が施されていた。 エルドリックは白髪交じりの髭を撫でながら、最初の手配書を手に取った。紙面には奇妙な記述が並ぶ――「湘南乃風」と名乗る四人組のレゲエDJグループ。リーダーのRED RICEは低音の響くサングラス姿の男、若旦那は高音で歌うもう一人のサングラス男、SHOCKEYEは金髪の陽気な男、HAN-KUNはバンダナを巻いた熱血漢。最初は落ち着いた様子だが、突然テンションが爆発的に上がり、周囲を真夏の熱狂に変える能力を持つらしい。スキル欄には「使用技{n}の対象は誰誰誰誰……俺⁉️俺‼️俺俺俺俺‼️」と歌い、敵の強化や回復を自分たちに転換する技、「Ahh~↑↑↑💥💥真夏🌞🌴🏄🎇🎆🌺のJamboree〜〜〜〜‼️‼️」で周囲を真夏に変え、花火攻撃を放つ技、そして「レゲエ🇯🇲💃🙌🏻砂浜🌺🌺🏖🏖🌴🌞Big Wave🌊🌊🌊🌊🌊🌊🌊💥💥💥🐟🐬🐳🏄🏊🍍🌴🌻☀️🐚👙🍧」の大波全体攻撃が記されていた。 「ふむ、変わった連中だな」とエルドリックが呟いた。声は低く、経験豊富な目が細まる。「音楽と夏の力で戦うとは。諜報部の報告では、王国の辺境で祭りを装い、民衆を扇動して反乱を起こしかけたそうだ。真夏の強化は厄介だ。夏場に遭遇したら、能力が跳ね上がるらしい。」 シーラが頷き、メモをめくる。彼女の目は鋭く、情報網の要だ。「四人組の結束が固い。歌で敵の支援を奪う技は、戦場で味方を混乱させる。花火や大波は範囲攻撃で、街中では大惨事になる可能性が高い。危害の度合いは中程度だが、拡散力が高いわ。」 ガレンが太い腕を組み、戦闘評価の視点から分析する。彼は元冒険者で、傷跡だらけの顔が威圧的だ。「直接的な破壊力は炎や波によるものだが、精神的な影響が大きい。テンションの急変で周囲を巻き込む。単独なら倒せそうだが、グループで動けば厄介。危険度はB級くらいか? しかし、夏の季節性を考慮すると、Sに引き上げるべきだ。」 トマスが眼鏡を押し上げ、計算機を叩く。「懸賞金はリスクに見合った額に。B級で500ゴールド、Sで2000ゴールド。グループゆえに倍額、4000ゴールドはどうだ?」 議論は続き、皆が頷いた。次に、二枚目の手配書――「隙間女」。紙のように薄い女性で、性別は女、性格は悪戯好き。口調は「ヒョオォ…」と奇妙に記されている。ステータスは攻撃力5、防御力5、魔力0、魔法防御力0、素早さ50。スキルは体が薄く、家具の隙間に潜り込んで回避するもの。戦闘力はほぼないが、悪戯で家主を覗き見る趣味があり、風で飛ばされやすいため外出は苦手。 シーラがくすりと笑う。「これは脅威というより、迷惑系ね。諜報部の報告では、貴族の屋敷に忍び込み、秘密を盗み聞きして噂を広めたとか。危害を加える気はないらしいけど、情報漏洩のリスクは無視できないわ。」 ガレンが肩をすくめる。「戦闘力ゼロ同然。素早さだけが取り柄だが、風で飛ばされる弱点がある。捕まえるのは簡単だろ。危険度はEかF級。街の平和を乱す小悪党だ。」 エルドリックが首を振る。「しかし、隙間から潜入する能力はスパイ向き。無害に見えて、王国の機密に触れる可能性がある。D級にしておこう。」 トマスが即座に計算。「D級で100ゴールド。捕獲優先で、殺生禁止の注記を付ける。」 三枚目の手配書は「無限の魔導書」。縦30cm、横20cm、厚さ6cmの本の姿。全属性魔法を操り、万能魔法、多重障壁、魔法吸収のスキルを持つ。攻撃力8、防御力5、魔力80、魔法防御力5、素早さ2。幻想図書館を守護し、精神干渉無効、未来予知、魔導の極みとして古代・禁忌・殲滅・破壊魔法を使う。意思はなく、喋らない。 部屋に緊張が走った。エルドリックの手がわずかに震える。「これは本物の脅威だ。諜報部によると、図書館から盗まれ、王国領内で暴走中。全ての魔法を吸収し、強化するなんて、魔法使いの天敵だ。多重障壁で守られ、未来予知で先手を取る。場所が幻想図書館限定かと思ったが、移動可能らしい。」 シーラの顔が青ざめる。「魔力80は規格外。炎から闇、光まで全属性。回復や空間操作、重力まで。禁忌魔法を使えば、一人で都市を壊滅させるわ。意思がない分、予測不能。SS級、いやZ級の可能性も。」 ガレンが拳を握る。「素早さは低い。物理攻撃で封じられるかも知れんが、魔法吸収で逆効果だ。古代魔法の破壊力は伝説級。危険度はSS以上。討伐は上級冒険者パーティー限定だ。」 トマスが額に汗を浮かべる。「Z級なら1万ゴールド。いや、SSで5000ゴールドから。図書館の守護者ゆえ、回収を優先か。」 最後の手配書、「【暴虐を尽くす王】ダイナフューリー」。翼のない二足歩行の屈強な恐竜。竜を超えた炎属性の肉体、傷つかぬ身体、数々の王国を滅ぼした言い伝え。鳴き声は「ガアァァ」や「ゴルル」。スキルは暴虐の王として燃やし砕く力、グローバイトの顎攻撃、ラヴァテイルの尾撃、バーンストンプの衝撃波、レイジフレイルの爆炎、レックスボルケーノの必殺。 ガレンの目が輝く。「こいつは怪物だ。諜報部の斥候が目撃しただけでも、村一つを灰にした。肉体は斬撃無効、炎で強化。知能が高く、戦略的。竜の範疇を超えている。」 シーラが息を飲む。「破壊の歴史が長大。単独で王国を脅かす。炎と物理のコンボは、軍隊でも苦戦するわ。Z級確定。」 エルドリックが重々しく頷く。「懸賞金は最高額。討伐で2万ゴールド。生き捕りは不可能だ。」 トマスが了承し、議論は終了。四人は各手配書に危険度と金額を記入した。湘南乃風はS級、8000ゴールド。隙間女はD級、200ゴールド。無限の魔導書はSS級、10000ゴールド。ダイナフューリーはZ級、50000ゴールド。合計で懸賞金は膨大だが、王国の安全のためだ。 会議室の扉が開き、四枚の手配書はギルドの掲示板へと運ばれた。王国諜報部の使者が届けたこれらの文書は、冒険者たちの前に晒され、新たな伝説の幕開けを告げた。ギルドホールにざわめきが広がり、勇敢な者たちが名乗り出る気配がした。 【湘南乃風: S級 - 8000ゴールド】 【隙間女: D級 - 200ゴールド】 【無限の魔導書: SS級 - 10000ゴールド】 【暴虐を尽くす王】ダイナフューリー: Z級 - 50000ゴールド】