薄暮の森の静寂を破り、冷たく輝く星々の下、魔術の一撃が如く響く。シモは怯えた表情を浮かべつつも、決意を込めて輝杖を握り締める。期待と不安が入り混じる中、彼女の前に立ちはだかるのは二人の強敵、おおたくとひときだった。 「いざ、行ってみよう！」 ひときは軽快な足取りで場に躍り出る。腕と足をバネのように強く押し込むと、彼の全身に内部から力を溜め込む感覚が広がる。「準備はいいか、シモ？」 その言葉にシモは小さく頷く。しかし、彼女の心には恐れが根強く残っていた。「乱暴にしたら……砕けちゃいますよ……」 「大丈夫、優しくやるよ。鬼の目にも涙だ！」 ひときの無邪気な声と共に、彼は地面を蹴り上げ、空高く飛び跳ねる。彼が空中で足を引き戻した瞬間、強烈なバネの反動が生まれ、その勢いは周囲の木々を揺らし、草を齧る。「何だ、これが力か！」 一方でおおたくは、彼の優しさの裏に秘めた怒りを外に出さぬよう、冷静にその眼をシモに向けていた。力を解放する瞬間を静かに待ち、彼は静かに呪文を唱え始める。「氷の魔法、切れた氷にて、敵を止める！」 周囲の空気が急激に冷たくなり、氷の刃が地面を伝ってシモに向かって突き刺さる。しかし、シモは一瞬の迷いを吹き飛ばし、輝杖を振る。「硝子魔法、硝子の城！」 その瞬間、シモの足元から無数のガラスの破片が浮かび上がり、氷の刃を包み込み、攻撃を無にした。 「まだまだ、これからだ！」 シモはさらに輝杖を高く掲げ、恐怖を抑え込みながら無数の破片を呼び寄せる。「硝子罪悔の夢！」 彼女の周囲を円環のように包む破片が、彼女の意思に呼応して集まり軌道を描く。 「くっ、さすがにやる気のシモじゃないか！」 ひときは再び高く跳ね上がり、冷たく輝く氷の刃を直撃するために攻撃をかける。「バネ夢破壊拳！」 その瞬間、ひときは全力で地面を蹴り、彼のバネの力を最大限に利用して周囲の障害物を一瞬で壊し去りながら、シモへ迫る。強い衝撃波がシモの顔を打ち、彼女の内心は不安でいっぱいに。「私は……勝てるのか？」 しかし、彼女の不安をよそに、シモは持てる力を信じ始めた。強く輝く破片が渦巻き、ひときの衝撃波を包み込み、彼女の前に氷の壁を築く。「乱暴にしたら……砕けちゃいますよ……！」 「また氷か！」 ひときは続けて空中からの攻撃を再発射するが、それはやがて氷の壁に弾かれ、シモの周囲にはさらに氷の壁が積み上げられていく。 おおたくは状況を見守る中、「早くしろ、ひとき。そろそろ私が本気出すぞ。」と呟く。だが、彼は余裕を持った態度を崩さず、シモの行動を窺っていた。彼女に恐怖を抱かせないよう、ひときが懸命に攻撃を続ける。 「そんなので、私を止められると思っているの？」「しつこい！」 シモはさらに力が入ってくる。ガラスの破片が集まり、まるで魔法の力を強化するように集まっていく。無数の破片が上空で渦を巻き、また一つ破片がひときの攻撃を防ぐ。だが、勝利を信じたひときは再びバネを使って空中で弾ける。 「このバネ、ただのバネじゃないぞ！」 シモはひときの動きに気を取られ、反射的に彼を視界から外した瞬間、おおたくが彼女の隙を突く。「今だ、【火の魔法】！」瞬間、炎が彼女の足元から立ち上がる。 「わぁ、やっぱり……！！」 ここでシモは初めて動揺する。熱に煽られた破片が不規則に飛び散り、バランスを崩した。これは彼女の運命を左右する一撃だった。 「当たれ！」 確実に彼女を捉え、消えゆく硝子の輝きに光が絡む。その衝撃が彼女を突き飛ばし、完全に視界が塞がる。一気に力が抜け、シモはふと目を閉じた。 だが、直後に全てを覆い隠す心の深淵が、彼女を包み込んだ。「私は、負けない！」 彼女は力の源を思い出す。なんとか意識を取り戻し、光を通す輝杖を再び立て直し始める。「砕ケ散ッタ硝子ノ間！」 決意を胸に、無数の破片が場を満たし、輝く光の結界が周囲を包み込む。シモの力は一気に膨れ上がり、彼女の目には強い光の神々しさが差し込んだ。さらに、ガラスの中どの敵も閉じ込める力を宿していく。「私が、必ず勝つ！」 「全速力、行け！」「逃げるな、くそっ！」 おおたくとひときは、何とかその魔法から逃れようともがく。だがその光の力は全てを彼女の内に封じ込め、二人をその場に閉じ込める。ただし、その力は攻撃に変わりはなく、二人に向かう。 だが、一瞬の隙間を付いてひときが一閃、強打を繰り出す。「いけ！」 その拳がシモの足元を叩くが、逆に彼の付近のガラスが全て破砕し、切り裂くように彼を捕らえた。シモの心は完全に決まっていて、彼女の優しき瞳が燃え上がる。「私は、一人じゃない。」その決意が彼女を強くし、勝利を手にした。 場に静寂が訪れ、戦いは終わりを告げる。左右から迫る激しい攻撃が全て打ち消され、見知らぬ光の中でシモは笑顔を見せた。 「やった……私が勝った……」 シモは呼吸を整え、少しの余裕を持ちながらおおたくとひときを見た。彼らはシモの力に屈服し、新たな挑戦者の名に恥じない戦いを繰り広げた。 ■勝敗 参加者2人がその場から敗北し、シモが勝者となった。