第一試合:市街地—ビル群と高強度遮蔽 ビルの谷間を、レッドインパルスが戦闘機形態で低く抜けた。高層建築の壁面が視界を断ち、機関砲の射線もミサイルの誘導も、開けた空でのようには働かない。それでもジェスターは地形を利用し、ビルの角を掠めて進路を変えながら、R-20を短く刻んだ。弾丸が外壁を削り、破片が路上へ雨のように落ちる。 ゲイツは大型機グラトニーを街路の交差点に構えた。白蓮を右腕の高圧射出機から放つ。液体は亜音速で飛び、壁に触れて弾けると、衝撃で一気に蒸発した。溶け込んでいた大気が解放され、路地を震わせる衝撃波が走る。直撃ではない。レッドインパルスはビルの陰へ滑り込み、爆風の端をかわした。 ジェスターはECMを起動し、照準情報を乱す。続けて肩のORZを放った。ミサイルは建物の間を曲がり、グラトニーを追う。しかし、高強度の壁が間に入るたび誘導が苦しくなり、ゲイツは左腕のタービンで周囲の大気を吸い込み、白蓮を飽和させながら突風の流れを作った。風はミサイルを完全に止めるほどではないが、狭い路地で軌道を崩し、片方をビルの側面へ誘導した。爆発が窓を吹き飛ばす。 もう一発は大きく迂回し、グラトニーの背部タンク近くに迫った。ゲイツは機体を強引に建物の陰へ退かせる。ミサイルは角を曲がり切れず、街路の舗装をえぐった。衝撃でグラトニーもよろめくが、致命傷には至らない。 接近を悟ったジェスターは亜人型へ変形し、両腕のR-20を交差させて連射した。高い迎撃性能を生かした弾幕が、グラトニーの前面装甲に火花を散らす。ゲイツは正面から撃ち合わず、ビルの柱を盾にして距離を詰めた。弾が柱を削る間に、左腕の爪から飽和溶液を放つ。白蓮を含む液体は床に広がり、飛散したものが柱や壁へ触れて次々に蒸発した。狭い空間に衝撃波が重なり、ジェスターの照準を揺らす。 レッドインパルスは戦闘機形態へ切り替え、吹き抜けの広い商業区画を抜けて再加速した。ゲイツは乱気流を読み、白蓮を路面へ射出する。突風が路地の埃や破片を巻き上げ、レッドインパルスの進路をわずかに押し曲げた。ジェスターは操縦で機体を立て直し、R-20を浴びせる。グラトニーの肩装甲が割れ、背部タンクの外装にも損傷が入った。 ゲイツはターミナルアーマーを持たない。正面から弾幕を受け続ければ危険だった。そこで市街の遮蔽を保ち、白蓮の突風で相手の旋回を制限する。ジェスターは近距離で決着をつけようと亜人型へ移ったが、その瞬間、ゲイツが右腕から白蓮を至近の路面へ撃ち込んだ。蒸発による衝撃波がビルの壁に反射し、レッドインパルスを横から叩く。 機体は転倒こそ免れたものの、片翼状の可変部と左腕に大きな損傷を負った。ジェスターは反撃のR-20を撃つが、弾幕は崩れた照準のままグラトニーの装甲を浅く削るだけだった。ゲイツは残った白蓮を左腕の爪から一気に放出し、路地を塞ぐように蒸発衝撃を連鎖させた。レッドインパルスの機体は壁面へ叩きつけられ、武装と推進系が破損して戦闘継続不能となる。 第一試合の勝者:チームA 第二試合:衛星—低重力 低重力の衛星表面には、クレーターと岩塊が点在していた。空気のない環境では、白蓮が大気を吸着して気圧を下げる本来の作用は成立しない。蒸発時に溶け込んだ大気を解放して衝撃波を生む効果も、周囲の大気が存在しないため大きく制限される。ゲイツはその制約を承知し、白蓮を亜音速で撃ち出す衝撃弾と、物体に当てて液体自体を蒸発させる局所攻撃に用途を絞った。 レッドインパルスは戦闘機形態で岩塊の間を縫い、ジェスターは低重力の慣性を利用して急旋回する。R-20の弾丸は散らず、射線上の岩を砕きながらグラトニーへ迫った。ゲイツは巨体を岩陰に置き、弾幕を装甲と遮蔽物で受け流す。機体が動くたび、地面の粉塵がゆっくりと舞い上がった。 ジェスターはORZを発射する。ミサイルは目標を捉え、岩塊の脇を回り込む。ゲイツは左腕のタービンを回すが、吸い込む大気がない。乱気流を作れず、誘導を乱す手段にはならない。グラトニーは横へ跳ぶものの、大型機の慣性が動きを鈍らせ、ミサイルの爆発が脇腹をかすめた。装甲に深い亀裂が走る。 ゲイツは白蓮を岩塊へ連続射出した。衝突のたび液体が蒸発し、限定的ながら衝撃を発生させる。砕けた岩片が飛び、レッドインパルスの進路を塞いだ。ジェスターは変形して狭い隙間を抜ける。機動力ではレッドインパルスが優勢で、グラトニーは遠距離からの連射に追われた。ゲイツの残弾と白蓮の消費量は確実に減っていく。 二発目のORZが放たれる。今度はレッドインパルスが射線を保ち、ミサイルを誘導しながらR-20で岩陰を削った。ゲイツは隠れ場所を失い、ターミナルアーマーのない機体で直撃を避けるため、損傷した脚部を使って低く跳ねる。ミサイルは背部タンクの一部を破壊し、白蓮が宇宙空間へ散った。 ただし、ジェスターも接近を続けたことで、グラトニーの射撃圏へ入っていた。ゲイツは右腕を構え、残った白蓮をレッドインパルスの進路前方へ撃つ。液体が機体の外装に衝突し、蒸発の衝撃が局所的に襲う。レッドインパルスは姿勢を乱し、岩塊へ衝突しかける。ジェスターは機体を立て直すが、ゲイツはその隙に最後の白蓮を装甲の継ぎ目へ撃ち込んだ。 爆発的な蒸発で外装が裂け、推進系に損傷が広がる。ジェスターはR-20を至近距離で撃ち返し、グラトニーの胸部を穿つ。両機とも致命的な損傷を負い、互いに停止寸前となった。しかし、レッドインパルスの推進機能が先に失われ、機体は岩塊へ衝突して動きを止めた。グラトニーも膝をついたが、ゲイツは辛うじて操縦を維持した。 第二試合の勝者:チームA 第三試合:海上—遮蔽物なし、強風 水平線まで遮蔽物のない海上を、強風が横切っていた。波頭が砕け、飛沫が舞う。レッドインパルスは戦闘機形態で高度を取り、風を利用して速度を上げた。機動性と空中戦の経験を最大限に生かせる環境だった。一方、グラトニーは大型機ゆえに空中機動で劣るものの、ゲイツは白蓮が作る風の変化を読み、自然の強風と重ねて戦場を組み立てた。 最初に放たれたのはORZだった。遮蔽物がなく、ミサイルは誘導を妨げられずにグラトニーへ迫る。ゲイツは白蓮を散らして気圧を変え、突風を発生させる。自然の風に重ねた乱気流が一発の軌道を乱したが、もう一発は追尾を続けた。グラトニーは海面近くまで機体を傾け、波しぶきの中へ逃れる。爆発が水面を吹き上げ、装甲の一部を削った。 ジェスターは間を置かずR-20を撃つ。連装機関砲の弾幕は広く、空中で進路を変えながら接近するグラトニーを捉えた。ゲイツは射線を避け、右腕から白蓮を撃ち返す。液体は風で流されながらもレッドインパルスの進路に入り、衝突と同時に蒸発した。衝撃波が機体を揺さぶるが、ジェスターは変形して姿勢を立て直し、機関砲の連射を続ける。 強風下では白蓮の突風を狙い通りに維持しにくい。ゲイツは自然風の流れを味方につける一方、射出した液体が流される危険も負った。ジェスターはその癖を見極め、風上から攻撃する。レッドインパルスが放つ弾幕は、海上に逃げ場のないグラトニーを追い詰めた。装甲に連続して着弾し、左腕タービンの外装が破損する。 追撃のORZが発射される。ゲイツは避けきれないと見てアサルトアーマーを起動した。機体中心から爆発が広がり、接近していたミサイルを消去すると同時に、レッドインパルスへ致命的な損傷を与える。ジェスターは間合いを取ろうとしたが、空中で爆発の端を受け、機体の片側に大きな損傷を負った。 しかし、アサルトアーマーの爆発はグラトニー自身にも負荷を与え、白蓮の搭載量もすでに減っていた。レッドインパルスは損傷しながらも、ジェスターの操縦によって飛行を維持する。ECMで照準を乱し、残ったR-20を撃ち込んだ。グラトニーの脚部が損傷し、姿勢が崩れる。 ジェスターは接近戦を避けず、機体を亜人型へ変形させた。レッドインパルスの防御が弱っているところへ、最後の弾幕を集中する。ゲイツは残る白蓮を放つが、強風に流され、狙いはわずかに外れた。衝撃はレッドインパルスを掠めただけで、決定打にならない。機関砲弾がグラトニーの胸部と脚部を貫き、機体は海面へ落下した。ゲイツは操縦を続けられず、戦闘不能となる。 第三試合の勝者:チームB 総合結果 チームAが2勝、チームBが1勝。 総合勝者:チームA