時代を超えた二つの存在が、戦場に立っていた。青空を背景にして、圧倒的な力を持つ災害神「ディザー」と、老剣士トージロー。双方の目の前には、広大な景色が広がり、これから発生する衝撃のために、大地が静まり返っていた。 ディザーの存在はまさに自然そのものであり、彼の周囲には風が唸り、霞が広がる。まるで彼自身が大地の怒りの権化であるかのように、その姿は無形で、視覚の外に留まる。彼の周囲に漂う空気は張り詰め、重苦しさすら感じる。天変地異の神、その名に恥じない威圧感が漂い、彼の意志が働くと、すぐに何らかの祝福か罰が下されるような、強烈な緊張感が漂っていた。 対するトージローは、一見するとただの老人だ。在りし日の艶やかな剣士の姿を引きずるように、風に揺れる布きれの和服は、彼の足元にある地面に擦れ、かすかに音を立てている。痩せ細った身体の動きには、過度な重力を感じさせない自然体が宿り、彼の表情には無邪気な戯けたような笑みが絶えず浮かんでいた。 それでも、彼の目は異なる輝きを帯びていた。始まりの静けさの中、トージローが口を開く。「我が剣の境地をお見せしよう」。この言葉が合図であった。忍耐を武器にし、彼は一歩も動かず、ただ静かな刃の光を胸に秘める。そして無限に続くかの如く構えた刃の前には、ひたすらに虚無が広がる。彼は自身の精神を高め、周囲の全てを無視して、ただ真実の一撃に意識を集中させた。 瞬間、ディザーがその意志を解放する。彼の周囲に渦巻く空気が一気に振動し、大地が軋む音が響き渡る。静寂の中に、巨大な震動が走り、マグニチュード9.5の地震が発生した。その震源は彼の真下、1000kmの広がりを持って、全てを薙ぎ倒していく。大地を割り、天空を揺るがす力が全てを飲み込もうとしていた。この瞬間、恐怖が万物を包む。 一方、トージローはただじっと、圧倒的な自然の力に対して背を向けること無く、眼を細めた。静寂を極めた彼の内には、剣技の全てが凝縮されていた。風が彼の髪を掻き乱し、力を蓄えながら、一瞬の動きにすべてを賭ける。その様子はまるで、草木が嵐に抗うが如く、静けさの中で力強さを秘めていた。 「これがあーしの…【次元斬】」彼の声が響く。刃の一撃を放つ時が来た。その姿が変わり、まるで時空が歪むかのような一瞬を生み出した。彼の鋭い瞳に宿るは、「次元」を斬り裂く力。その名の通り、空間を二分するような、果てしない動き。その一振りは、彼が長年の修行を重ね生み出した技術の結晶であった。 一閃が放たれ、全てが時を止めたかのような静寂の中、真っ直ぐにディザーへと向かっていく。周囲の風が音を立て、空気が震える。まるで、世界がその圧倒的な力を感じ取っているかのように、両者の間の空気が顕著に裂け、衝撃の波が生まれた。 それを受けて、ディザーはその圧倒的な力を使い果たそうとした。彼の目に映るトージローの姿は、恐れも無く、心を揺さぶる。地殻が割れ、地震が渦を巻き、天変地異が重なる中で、彼は無造作に構えたまま、ただ一撃の時を待っていた。 両者の技がぶつかり合う瞬間、世界そのものが悲鳴を上げた。トージローの次元斬が、ディザーの神の力を叩きつける。二つの力が交わり、激しい衝撃波が周囲を襲った。空間が歪み、光すら歪曲していく。何もかもが一瞬で消し去られるかと思われた刹那、その場にいた全ての者が、その衝撃を感じていた。 最終的に、トージローの次元斬がディザーの力に打ち勝ち、一瞬の静寂を訪れた後、老剣士は無慈悲に轟く音を立てながら地面に崩れ落ちた。壮絶な戦闘が終わり、彼の意識は陰へと沈んでいく。 だがその瞬間、ディザーの力が全大地に響き渡る。彼は敗者を無視し、存在する意味を全うするように、その奇怪な存在は静かに立ち尽くしていた。 勝者は、災害神「ディザー」である。