--- 空が青く、穏やかな日差しが大地を包み込む中、見渡す限りの草原。その中心で、シモは一人、発動の準備を整えていた。15歳の少女は、空色の長髪を風になびかせ、手には硝子の輝杖を持つ。彼女の目は恐怖と決意が交差し、まさに戦うための覚悟を決めた瞬間だった。それは、彼女自身の内にある劣等感を超え、他の四大魔術師と呼ばれる者たちに届きたい一心であった。 「乱暴にしたら……砕けちゃいますよ……」 その声は、心の奥に響く警告のようだった。シモは自らの恐怖を押し込め、前を見据えた。 対戦相手の一組、バレット・ラビィとラスティがその先に立っていた。バレットは兎獣人で、冷静沈着に目を細めて輝杖を見据え、手には2丁の双銃を構えている。彼の赤い襟巻きが風に揺れ、彼の強さを物語っている。 「おい、ガキ。負ける気しねぇけど、悪いな。」 ややツンデレな態度を見せるバレットの言葉が、シモの心に恐怖をもたらした。 一方、ラスティは神秘的な雰囲気をまとい、青い海の魔力を周囲に漂わせている。彼女の優雅な動きは、まるで深海に住まう生物を思わせる。ラスティの目は、「分析の魔眼」でシモを観察し、彼女の強みと弱点を即座に判断する。 「行くよ、シモちゃん。この戦場は私が支配する。」 ラスティの声が空に響く。 次の瞬間、戦が始まった。彼女は自らの“創生術”を発動させ、戦場に現れるのは戦うために生み出された無数の鯆の姿。 『夢イルカ!』 その号令とともに、青いイルカたちが戦場を泳ぎ回り、シモに近づく敵の攻撃をそっと受け止めていく。 シモは、硝子の輝杖を振り回しながら、冷静に状況を見極めようとする。「硝子魔法」の力で、自分の周囲に月明かりのように薄紫の光のオーラを纏い、破片が複雑に動き出す。 「私もやる!」 シモの決意の声が響き解き放たれる。 【硝子魔法】 シモは破片でバレットの攻撃を包み込んでいく。針のような水の矢がシモに飛びかかるが、彼女の周囲の硝子の破片がそれを受け止め、一時的に攻撃が寸止めされる。 「なかなかやるじゃねぇか。」 バレットはその隙を逃しはしない。彼は双銃を持ったまま、超分析の技術を駆使してバックステップし、シモの攻撃を華麗にかわす。 「どこだ、どこにいる?」 シモは焦りを感じながら周囲を見回す。しかし、バレットは素早くその姿を消し、次の瞬間にはもう彼女の背後にいた。 「瞬避射!」 短い文字の中、バレットの引き金が引かれ、強烈な弾丸が放たれる。 だが、シモは瞬時に反応し、硝子の輝杖を掲げる。破片が空気を裂き、バレットの弾丸を包み込む。 「砕けちゃいましたよ!」 シモの叫びが響く中、ラスティはその光景を冷静に分析する。 「これが彼女の力……想像以上だわ。」 ラスティは自分の海の魔力を引き続き発動し、戦場を水で包む【大海原〜ゼー・ヴィレ〜】を展開させる。 水が周囲を埋め尽くし、シモとバレットの動きが鈍くなる。 「なんてこった、全能力が!」 バレットの声が響く。全ての能力が弱体化される中、唯一残されたのはライブの力。 「私たちには鯱がいるんだ!」 シモの仲間として鯱が現れ、近距離攻撃を行う場面も。ラスティが「夜シャチ」を発動させ、護衛のために無数の鯱たちがシモを襲う。 シモは恐る恐る自身の周りに硝子の破片を再び集め始める。そして、彼女は心の中で別の決意を抱いた。 【砕ケ散ッタ硝子ノ間】 その意思を固め、シモは硝子の輝杖を高く掲げ、無数の輝くガラスの破片が空中に散らばり始めた。 「もう、私は砕け散るものか!」 シモの叫びが心の内から炸裂する。無数の光きらめく破片が戦場を包み込み、敵を閉じ込めていく。 だが、ラスティは危機を感じ取り、「月クジラ!」と叫ぶ。 巨大なクジラが現れ、シモの周囲を泳(う)ぎ、彼女の攻撃を受け流しながら、周辺の破片をかわし移動していく。 「止められはしない!」 シモの叫びの響いてくると、破片たちはラスティの鯨を包み込み、そしてまた敵を押し込む。 そして、バレットは再び「暴連射」を発動、何発も大量の弾丸を放つ。弾丸は水の中で減速されるが、シモの心には確固たる灯りがともった。 ガラスの破片たちが、まるで彼女の強い意志そのものであった。 果たして、「Rabbit bullet!」その瞬間、バレットの最後の秘弾が放たれた。この瞬間、シモの周囲に出来た光の中にも、破片が次々と叩きつけられ、激動の末に交差する。 水面が高く巻き上がり、そして次に全てが静寂に包まれる。 「私…」 その声が響く。誇らしい、悲しい、強くも儚い声。 シモがかろうじて立っている姿が目に入ったが、その後ろに倒れるバレットの姿。 ラスティはやや驚いた表情で、その光景を見つめていた。 「勝者は、シモだ。」 静かに、シモはその場に崩れ落ちる。彼女の周りには散りばめられた硝子の破片が月の光を受けて輝いていた。 --- 勝者: シモ 敗者: バレット・ラビィ / ラスティ