冬至の夜に響く咆哮 第一章:凍てつく闇の訪れ えぇ、みなさん、こんばんは。今日はねぇ、ちょっと寒い夜の話でしてねぇ……。アタシ、稲川淳二と申しますよ。12月22日、冬至の夜でした。外は雪がチラチラと舞って、風がビュウビュウと木々を揺らしてねぇ。街はずれの古い倉庫街をね、アタシは一人で歩いておりましたの。理由? ふふ、ただの散歩ですよ。怪談のネタを探しにねぇ。ところがですよ……あれぇ? なんだか空気が重たくて、息が詰まるような感じがしてきましたわ。嫌だなぁ、嫌だなぁ……。 倉庫の影から、突然、ガシャン! という金属音が響きましたの。トン、トン……いや、もっと激しく、ズシン! ズシン! と地面が震えるんですよ。アタシは慌てて物陰に隠れましたが、目を見張るものがそこにありましたわ。広場のような空き地に、突然、三つの影が現れたんです。いや、影じゃない……生き物? 機械? 何だか分からないけど、信じられない連中がねぇ……。 一つ目は、小柄な女の子のような姿。空色の髪をツインテールに結んで、銀色の瞳がキラリと光るんですよ。童顔で可愛らしいのに、黄橙色のエプロンドレスが妙に重そうで、中に金属の鎧を隠してるみたい。彼女は静かに呟きましたわ。「私、戦闘モードを起動します。あなたたち、敵対者として認識。」機械的な声に、ほんの少しの感情が混じってるんです。怖いなぁ……あれは一体? 二つ目は、恐竜みたいな巨大な獣。ステゴサウルスを思わせる体で、背中に骨板がビッシリ並んで、尾には鋭い棘がギラギラ光ってねぇ。翼はないけど、屈強な体躯がズシンズシンと地響きを立てるんですよ。突然、「ゴバァォォ!」と咆哮を上げて、みんなを威嚇しましたわ。あれぇ? おかしいなぁ、あんな生き物が今どき……。 そして三つ目……これが一番不気味でしてねぇ。超大型の女型機械人形、なんて呼べばいいのか。10の64乗メートルもの大きさですよ? 想像もつかない巨体で、空を覆うほど。左目は黒く輝き、右目は空っぽで、千本の腕がウネウネと蠢いて、胸元にコアが一つ、ポワッと光ってるんです。不気味な笑顔の顔が三つもあって、頭がゴロゴロ転がるように動くんですよ。声はバグった機械音で、「検知……敵性エンティティ……殲滅プロトコル開始……」って、ガリガリと鳴りましたわ。嫌だなぁ、嫌だなぁ……あんな化け物が動くなんて。 三チーム、全員が一斉に現れたんです。チームAのエニールちゃん、チームBのスタンパドン、チームCのハマ……名前は後で分かったんですよ。アタシはただの目撃者、巻き込まれないよう息を潜めて見てましたわ。どうやら、勝利を目指したバトルが始まるらしいんです。冬至の夜に、こんな不思議な戦いが……怖いなぁ。 第二章:衝突の火蓋 それがねぇ、最初に動いたのはスタンパドンでしたわ。ゴバァォォ! と鳴き声を上げて、背中の被骨板がビリビリ震えだしたんです。ズドン! という衝撃波が広場全体に広がって、エニールちゃんの足元を揺さぶりましたよ。彼女は素早く反応して、「シールド展開。衝撃吸収。」と冷静に言い、肩からドローンをポン! と射出。青いフィールドがパッと広がって、衝撃を弾き返しましたわ。 ハマは巨体をゆっくり動かして、千本の腕をウネウネと伸ばし始めましたの。「目標捕捉……光線発射。」ガリガリという声で、指先からビームがズバババ! と飛び出しましたわ。エニールちゃんはプラズマライフルを右腕からシュン! と展開して、連射。高熱のプラズマ弾がビュンビュンとハマの外殻にぶつかりましたが、硬度が尋常じゃないんですよ。カチカチ! と弾かれて、傷一つ付かないんです。嫌だなぁ、あんな防御力……。 スタンパドンは冷静に戦術を立ててるみたいで、尾の棘をブン! と振り回しましたわ。スパイクスイングですよ。棘がエニールちゃんに向かって飛んでいきましたの。彼女は機械的な膂力で跳躍して避け、「接近戦移行。」と格闘態勢に。ところがハマの頭の一つが、突然口を開けて高威力光線をドピュッ! と放ちましたわ。あたった地面がジュウジュウと溶けていくんですよ。エニールちゃんはナノリペアで傷を修復しつつ、「学習中……感情、怒り?」と呟きましたの。心が芽生え始めてるんですかねぇ、おかしいなぁ。 アタシは倉庫の隙間から覗き見して、心臓がドキドキ鳴ってましたわ。雪が積もる地面に、衝撃波の余波でヒビが入って、ガリガリと音を立てるんです。冬至の闇が、ますます深まってきましたよ。 第三章:混戦の渦 戦いは激しさを増してねぇ。スタンパドンがショックウェーブを放ちましたわ。広域の衝撃波がゴオオオ! と広がって、エニールちゃんを吹き飛ばしましたの。彼女はドローンで防御しましたが、スタンブームの一点集中波がズドン! と命中。動きが止まって、ぎこちなくなりましたわ。「システム……一時凍結。」と声が途切れ途切れに。 ハマは究極超光速で移動して、時間すら止まったような速さでエニールちゃんに迫りましたの。千本の腕が絡みついて、口から飲み込もうとしましたわ。ジュルル……という不気味な音が響いて、怖いなぁ。エニールちゃんは回路掌握術を試みましたが、ハマの超高性能回路が多すぎて、無効。知性を持つ人造人間には効かないんですよ。「リンク失敗……あなた、強すぎます。」と、感情の揺らぎが声に混じりましたわ。 スタンパドンはハマに挑みましたの。尾の棘を振り回して、スパイクスイングで被骨板を狙いましたわ。ゴバァォォ! と鳴きながら、棘がチクチク刺さりますが、ハマの外殻はビクともしないんです。代わりに、ハマの指光線がスタンパドンをズバン! と捉えましたわ。竜の体が焦げて、煙がモクモク上がるんですよ。冷静な知能で耐えて、衝撃波を反撃しましたが、被ダメ半減の巨体には通用しませんでしたわ。 広場は混乱の極み。プラズマの爆発がボンボン鳴り、衝撃波がビリビリ空気を震わせ、光線がシュウシュウと熱を放つんです。アタシの耳に、雪の降る音すら届かなくなってきましたよ。嫌だなぁ、こんなバトル、誰が勝つんだろう……。 第四章:決着の予感 時間が経つにつれ、消耗が見え始めましたわ。エニールちゃんのナノリペアが追いつかず、装甲にヒビが入ってきましたの。「私……負けません。感情、希望を学習。」と、銀色の瞳に光が宿るんですよ。スタンパドンは傷つきながらも、ゴバァォォ! と咆哮を上げ、被骨板から最後の衝撃波を放ちましたわ。ハマのバリアを少し揺らがせましたの。 ハマは三つの頭をゴロゴロ動かして、「全コア……エネルギー放出準備。」とガリガリ言いましたわ。胸元のコアが六つ、すべて輝き始めましたの。究極超大規模爆発の予兆ですよ。範囲10の128乗メートル……世界全部が吹き飛ぶんです。エニールちゃんとスタンパドンが一時休戦のように、ハマに集中攻撃。プラズマと棘の連打が、巨体のコアを狙いましたわ。 ところが、ハマの瞬時復旧が発動。どんなダメージも修復されて、笑顔の顔がニヤニヤと広がるんです。「殲滅……完了。」光線が一斉に放たれ、エニールちゃんの体を溶かし始めましたの。彼女は最後の力を振り絞って、ドローンをハマの回路にリンクさせようとしましたが……失敗。スタンパドンの尾がハマの腕に絡まれ、動けなくなりましたわ。 爆発の瞬間が近づいて、アタシは倉庫の奥に逃げ込みましたの。ドドドド! という地響きが、体を震わせますよ。嫌だなぁ、怖いなぁ……。 第五章:冬至の余韻 それがねぇ、最後に何が起きたのか……アタシにはハッキリ見えませんでしたわ。巨大な光が広がって、ゴオオオオ! という爆音が夜を裂きましたの。雪が一瞬で蒸発して、熱風がビュウビュウ吹き荒れましたよ。倉庫の壁がギシギシ軋んで、アタシは目を瞑るしかなかったんです。 気がついたら、静かになってましたわ。広場を覗くと……痕跡すら残ってないんです。エニールちゃんのエプロンドレスも、スタンパドンの棘も、ハマの巨体も、すべて消え失せて。冬至の雪が、再びチラチラと降り積もり始めましたの。ただ、地面に残る焦げ跡と、かすかな機械音の残響が……。 アタシは家に帰って、震えながらお湯を飲みましたわ。あのバトル、夢だったのかしら? でも、銀色の瞳の輝きと、ゴバァォォという咆哮が、耳に残ってるんですよ。みなさんも、冬至の夜に倉庫街を歩かない方がいいですよ……。不思議な戦いが、また始まるかもしれませんわ。ふふ、怖いなぁ……おしまい。