世界を裏側から支配し、理(ことわり)を書き換える秘密結社『エクリプス・オーダー』。その目的は、現存する全次元の統合と、唯一絶対の神への昇華である。その頂点に立つ指導者のもとには、各次元から召喚され、あるいは配下となった最強の四人がいた。世に言う「四天王」である。 召集の合図が届いたのは、次元の狭間に存在する豪奢な円卓の間だった。重厚な黒檀の扉が開き、最初に足を踏み入れたのは、一人の男だった。 「ふふっ、相変わらず殺風景な部屋だ。もう少し血の赤を基調とした内装にすればいいものを」 紅いベルベットの外套を纏い、唇に不敵な笑みを浮かべる男――【鮮血帝】ウェールズ。純血の吸血鬼であり、九百九十九年の時を生きる超越者である。彼は優雅な足取りで円卓へと向かい、最高級の椅子に深く腰掛けた。その傍らには、常に彼に付き従う不気味な黒い棺が浮遊している。棺の隙間からは、これまで彼が喰らってきた百二十七万もの強者たちの魂が、絶えずすすり泣き、蠢いていた。 しばらくして、地響きのような足音が廊下に鳴り響いた。扉が乱暴に開かれ、現れたのは巨躯の牛であった。人間ではない、文字通り「牛」である。しかし、その瞳には知性と、戦士としての誇りが宿っている。牛は鼻を鳴らし、ウェールズの隣にどっしりと腰を下ろした。椅子が彼の重量に耐えかねてギシギシと悲鳴を上げる。 「……モー(遅いな、ボスは)」 言葉こそ発さないが、その意思はテレパシーのように周囲に伝わる。ウェールズは彼を一瞥し、くすりと笑った。 「おや、牛殿。相変わらず野蛮な歩き方だ。最近はどうだい? あの辺境の惑星の征服は順調だったかな。君の『モー突進』で山を一つ消し飛ばしたという報告書を読んだよ」 牛は誇らしげに胸を張り、鼻息を荒くした。彼は最近、自身のパッシブスキル【闘牛の系譜】による回復能力を極め、軍団全体の生存率を飛躍的に向上させた成果を上げていた。それは組織にとって、兵力の維持という面で極めて価値のある成果だった。 そこへ、空間が歪み、黒い火花と共に一人の男が忽然と現れた。銀色の甲冑に身を包み、不敵な笑みを浮かべる男――仮面ライダーエボルト(フェーズ4)である。 「ハハハ! 待ち合わせているなんて、相変わらず退屈な連中だな。俺が来れば、この場の格が一段上がるというものだ」 エボルトは空中に浮遊したまま、円卓を一周するように旋回した。彼は最近、ある銀河系をまるごとブラックホールへと変え、そのエネルギーを吸収して自身の進化を加速させていた。彼にとって、この組織の目的である「次元統合」は、自身の快楽と進化のための最高の遊び場に過ぎない。 「おやおや、エボルト。相変わらず自信満々だね。だが、私の魂のコレクションに君のような傲慢な魂が加わる日は、そう遠くないかもしれないよ?」 ウェールズが指先を軽く動かすと、わずかに血の刃【血刃】が形成され、空気を切り裂いた。エボルトはそれを鼻で笑い、軽くワープして回避する。 「いいぜ、試してみろ。今日がお前たちの命日にならなくて正解だったな。今の俺の『ブラックホールブレイク』に耐えられる奴が、この部屋にいると思うか?」 口論が始まろうとしたその時、部屋の照明がふっと落ち、深い闇が部屋を包み込んだ。同時に、天井の隅から一匹のコウモリが舞い降り、人間へと姿を変える。血のトライデントを携えた男、ブラッドである。 「……暗いところは、やっぱり落ち着く」 ブラッドは闇に紛れ、音もなく円卓の端に陣取った。彼は光の下では無力な存在となるが、この深い闇の中ではステータスが跳ね上がり、不死身の怪物へと変貌する。彼は最近、敵対する聖教会の地下聖堂を完全に闇に染め上げ、内部から壊滅させた成果を上げていた。血の海となった聖堂で、彼はトライデントを振るい、数千の兵士を絶望に突き落としたのだ。 四人が揃った。静寂が訪れるが、それは和解ではなく、互いの力を誇示し合う精神的な殴り合いの序章だった。 「さて、今回の召集の理由はなんだと思う? 私は、ボスが私の新しい『眷属』の質に満足し、さらなる権限を譲るつもりではないかと踏んでいるがね」 ウェールズが傲慢に語る。彼は自身の不滅性を誇りに思っていた。たとえ精神が崩壊し、肉体が滅びようとも、あの黒棺があれば何度でも蘇る。絶対耐性を持ち、あらゆる干渉を無効化する自分こそが、四天王の筆頭にふさわしいと考えていた。 「ふん、権限などどうでもいい。俺はただ、もっと強い獲物が欲しければいいだけだ。ボスの指示で、また別の宇宙を壊しに行かされるんだろうな」 エボルトが退屈そうに欠伸をする。彼はもはや、この世界の理を超越しており、ボスの命令すらも一種の「ゲーム」として楽しんでいた。 「モー!(俺はただ、ボスに褒められたいだけだ!)」 牛が激しく鼻を鳴らす。彼の純粋な忠誠心は、他の三人の狡猾さや傲慢さとは対照的だった。しかし、その突進力と回復能力は、組織の盾として不可欠なものである。 「……僕は、ただ血が欲しいだけだ。ボスのもたらす新たな戦場に、どれだけの新鮮な血が流れるか。それだけが興味ある」 ブラッドが低く呟く。彼は闇の中で、自身の魔力で血を増幅させ、トライデントを鈍く光らせた。 互いにマウントを取り合い、能力を誇示し、誰が最も組織に貢献したかを競い合う。それは最強を自負する者同士の、心地よい緊張感であった。ウェールズは笑みを絶やさず、エボルトは嘲笑し、牛は気勢を上げ、ブラッドは静かに機会を待つ。 やがて、部屋の最奥にある巨大な黄金の扉が、ゆっくりと開き始めた。 室内の空気が一変する。圧倒的な威圧感。四人の強者たちが、同時に背筋を正し、あるいは本能的に身構えた。彼らがどれほど傲慢であろうとも、この人物だけは別格である。 重厚な足音が一つ、また一つと響く。 「集まったか。私の愛しき、最強の駒たちよ」 闇を切り裂いて現れたその姿に、四天王は一斉に跪いた。組織の主、絶対的なリーダーの到着であった。