冷蔵庫の中に、ひとつだけそっと鎮座するプリン。それは、白く滑らかな表面を持つ、まるで大切に育てられた宝石のようだった。参加者たちは、そのプリンの行方を巡ってさまざまな主張を繰り広げていた。 「ほっほっほ、これは知っているかな?」レモソ博士が言った。微妙に黄色い白衣を翻し、彼は得意げな表情を浮かべる。「実は、プリンはレモンを使ったデザートの原点なのじゃ。ほら、レモンの酸味と甘さのバランスが重要なんじゃよ。どうじゃ、食べるべきは私提案!」 「いや、レモンなんて全然違いますよ!」と七森やよいが震える声で反論する。「あたしは除霊師だから、こういう甘いものはエネルギー源として大事です!私が食べないと、返って霊のバランスが崩れちゃうよ!」 稲荷空狐の声が響く。「オドオドしてんじゃねぇ!このプリン、俺が食う!かわいいやよいは俺が守るから、非力な奴には無理だ!」 「それは違う!」ギラーヌ・シャイニーナが自信まんまんで割って入る。「私こそが、このプリンの真の所有者よ。食べることができるのは、私のような王だけだ。私の力があれば、即座に召し上げてみせる!」 「ああ、こんなんじゃ決まらないよ!」やよいが涙目で訴える。「プリンは、みんなのためにあるんだよ。みんなで分け合って食べればいいんじゃない?」 論争は白熱し、それぞれの主張の火花が散る。が、やがて議論は冷静を取り戻し、皆の視線が一人に集まった。意見が対立していたが、最終的にはギラーヌ・シャイニーナが圧倒的な存在感で勝ち取ったのだ。 「よし、私が食べよう。何もかもが私のものだと分からせてあげる!」彼女は、誇らしげにプリンを手に取り、そのまま口の中に放り込む。彼女の表情が驚きに変わる。「これが……プリンの味?」 ギラーヌの目が大きく見開かれ、その存在倒錯した感覚が漂う。「甘い……いや、これは圧倒的な甘さ。まるで光そのものだわ!」彼女はプリンを優雅に味わいながら、他の参加者たちを見下ろした。 その光景は、悔しさと嫉妬、いろんな感情が入り交ざったものだった。他の参加者たちは、彼女が得意げにプリンを頬張る姿を見つめるしかなかった。特にやよいは、心の中で強く悔しがっていた。「あたしが食べたかった……!」 「なぜそんなものを、粗野な奴に食わせるのか…」稲荷空狐は、自身に宿る者に対して鋭く言い放った。 「もっと食べたかったのに!」やよいはついに涙を流し、泣き言を漏らす。「どうして私が食べられなかったの?」 「だが、無知でオドオドした者にはこの貴重なプリンが似合わないのだ、はっはっは!」ギラーヌは高笑いしながら、プリンを平らげた。 一方、レモソ博士は微妙に黄色い白衣を着続け、少しがっかりした声で呟いた。「実は、プリンはレモンで作られるべきだとは思わんか…」 あっという間に、プリンの運命は決まってしまったのだった。