【骨と時空の審判】 夕暮れの荒野に、ひとつの影が長く伸びていた。青いパーカーのフードを気だるげに被った骸骨――サンズは、ポケットに両手を突っ込んだまま、いつものように笑っていた。その笑みは決して温かくはない。ただ、世界の裏側を見透かしているような、底の知れない笑みだった。 「やあ、ずいぶん静かな場所だね。ここで虐殺を重ねてきた悪役さんが、まさかこんな所で昼寝でもしてたのかい?」 対峙する男は、鼻で笑った。黒いマントを翻し、血に濡れた剣の柄を指先で弄ぶ。「貴様が噂の時空の観測者か。くだらん。世界は俺の足元にあるだけだ。」 「へえ、そうかい。まあ、どうでもいいや。」サンズは肩をすくめた。「でも、ひとつだけ教えてあげる。キミが今まで殺してきた奴らの中に、キミの行動を見届けていた者がいたんだよ。審判者として、ボクはそれを全部覚えてる。」 男の表情が僅かに歪んだ。だが次の瞬間、彼は嘲るように剣を構えた。「ならば、ここで消えてもらおう。」 男が一歩踏み出した、その瞬間だった。 足元の地面が、ふっと消えた。いや、消えたのではない。世界そのものが、一瞬だけ書き換えられたのだ。男の意思が形を成す前に、それは罪として裁かれ、音もなく消えていった。サンズは先ほどと変わらぬ姿勢で、まるで何事もなかったかのように欠伸をひとつした。 「やれやれ、せっかちな人は嫌いだよ。」 そこへ、風を切る音と共に、大きな影が降り立った。長身の骨、赤いスカーフを風に揺らしたパピルスだ。彼は両手を腰に当て、胸を張って声を張り上げた。 「サンズ!また一人でかっこつけてるな!オレが来たからには、もう大丈夫だぞ!」 「やあ、パピルス。遅かったね。もう片付いたよ。」サンズはいつもの調子で答えた。「キミが来る前に、ちょっと時間を掛けすぎたかな。」 「ちぇっ、オレだって世界を救いたいんだぞ!」パピルスは頬を膨らませた。「でも、こいつ、もう大人しくなってる…?」 彼の視線の先には、呆然と立ち尽くす男がいた。だが、その男の身体には、既に青い光がまとわりついていた。パピルスは息を吸い込み、真剣な眼差しで男を見据えた。 「なあ、お前。悪いことはもうやめろ。オレは、みんなが笑って暮らせる世界が見たいんだ。」 男は答えず、ただ剣を取り落とした。そして、どこからともなく現れた骨の迷宮が、彼をそっと包み込んだ。迷宮の壁は柔らかな青に染まり、男の能力も、概念も、すべてが静かに眠りについていった。 「さすがだね、パピルス。」サンズが呟く。 「へへっ、当然だろ!」パピルスは得意げに胸を張る。「あ、そうだ、サンズ。帰ったら、オレのパスタ食べてくれるか?今日はトマトのやつだぞ!」 「ふふ、楽しみだね。」サンズは笑いながら、夕日に溶けていく迷宮を見つめた。 二人の骸骨は並んで歩き出す。荒野には風が吹き、青い光の残滓がゆっくりと消えていった。世界は、また少しだけ平穏を取り戻したのだった。 【お互いに対する印象】 サンズ:「弟は本当に眩しいよ。ボクみたいな気まぐれ者には、あの真っ直ぐさが一番まぶしくて、少し羨ましい。まあ、パスタは悪くないね。」 パピルス:「サンズはいつも余裕ぶってるけど、本当は誰よりも世界のことを見てるんだ!オレの自慢の兄ちゃんだぞ!でも、ちゃんと寝ろよな、サンズ!」