・地球 ・【調停の光】 ・シオン ・【始まりの呼吸の剣士】継国縁壱 ・"ただの死体" ・自称{ただの少年} ・【気死回生 -Revival of Spirit】 ΒΒ.キセン ・【Ex……】エクス・テラ 開戦 静寂に包まれた虚空に、あまりに不釣り合いな面々が集結した。足場となるのは、生命の揺り籠である「地球」そのものである。しかし、この戦場において地球は単なる舞台ではなく、ひとつの参加者としてそこに在る。その巨大な質量と大気の層が、戦士たちの呼吸を支え、同時に逃げ場のない閉鎖空間を形成していた。 戦いの火蓋を切ったのは、微細な光の粒子である【調停の光】であった。それは実体を持たぬ審判者として、開戦と同時に全参加者に【縛り】と【制限】を課した。あまりに強大すぎる力を持つ者には、それに見合った致命的な枷がはめられる。自称{ただの少年}やエクス・テラのような、世界の法則の外側に立つ存在であっても、この「調停」の光からは逃れられない。彼らは不快そうに眉をひそめたが、ルールに従わざるを得なかった。 継国縁壱は静かに日輪刀を構え、BΒ.キセンは気の流れを読み取り、シオンは既にその気配を消して闇に溶け込んでいる。エクス・テラは虹色の髪を揺らし、面白そうに周囲を眺めていた。そして、そこには誰にも意識されない「ただの死体」が転がっていた。誰もが互いの出方を伺い、緊張感が頂点に達した瞬間、不可視の火花が散り、地獄のような乱戦の幕が上がった。 たちまち乱戦へ 静寂は一瞬で崩れ去った。継国縁壱の動きは音速を超え、視認不能な速度で斬撃が舞う。日の呼吸による猛烈な炎の渦が戦場を焼き尽くそうとしたが、BΒ.キセンがそれを「止気」によって相殺する。気の流れを完全に制御する彼女にとって、物理的な斬撃は予測可能な事象に過ぎなかった。しかし、その背後からシオンの「間隙断ち」が鋭く突き刺さる。認識の外から放たれる一撃は、防御を貫通し、キセンの肩をかすめた。 一方、エクス・テラは自由奔放に戦場を飛び回り、虹色の泡沫を散らしては相手の攻撃をいなしていた。彼はこの状況をゲームのように楽しんでいたが、自称{ただの少年}は退屈そうに欠伸をしていた。「あぁ、懐かしいな。こんな風に神様ごっこをするのは」と呟く少年の周囲では、空間そのものが歪んでいた。彼にとって、この戦場に存在するあらゆる法則は、自分がかつて知っていた古い玩具のようなものである。 地球はただ、そこに在った。しかし、その存在こそが最大の脅威となる。参加者たちが激しく衝突し、大気が激しく震えるたび、地殻が軋みを上げる。地球がもし自転を止めれば、あるいは太陽へ向かえば、全ての戦いは無意味な死に帰す。しかし、今はまだ、彼らは互いの能力をぶつけ合うことに没頭していた。死体だけが、嵐のような戦いの中で静かに横たわり、奇跡的にあらゆる攻撃の弾道を逸らしていた。 最初の脱落 ☆ 乱戦の中、ある者が【調停の光】が課した【制限】に触れた。それは、あまりに奔放に力を振るいすぎたエクス・テラであった。彼は自身の能力を極限まで高め、戦場全体を虹色の空間に塗り替えようと試みたが、その「過剰な力」が【制限】の閾値を超えたのである。瞬間、空中に不可視の刃が顕現した。 エクス・テラは驚愕に目を見開いた。彼がこれまで経験してきたいかなる法則よりも速く、鋭い刃が彼の魂の根源を捉えた。「えっ、僕が……?」という疑問を口にする暇もなかった。調停の光による罰は、如何なる異能もすり抜けて貫く。外なる者としての特権も、虹色の泡沫による防御も、この絶対的な罰の前では意味をなさなかった。彼は一瞬にして光の粒子へと分解され、存在そのものが消し去られた。誰が救いの手を差し伸べることもなく、彼は静かに戦場から消滅した。 【Ex……】エクス・テラが脱落。残り7人 次の脱落 ☆ 戦場に残った者たちは、エクス・テラの消滅を見て、この戦いの残酷さを理解した。特に継国縁壱は、無意味な殺生を厭う心から、より迅速に決着をつけるべく覚悟を決めた。彼は《拾参ノ型》円環を繰り出し、光速の連続斬撃で周囲を制圧しようとする。しかし、その猛攻を完璧に予知していたのがBΒ.キセンであった。彼女は「気死回生」に目覚め、縁壱の全ての動きを完封しようと試みる。 だが、ここで予期せぬ事態が起きた。あまりに激しい攻防が地球の地表に甚大な負荷を与えたのである。地球はついに、その苛立ちを爆発させた。【自転停止】。突然、惑星としての回転が止まり、凄まじい慣性力が全物体に襲いかかった。エグいほどのGが戦士たちを地面に叩きつける。不撓不屈の心を持つシオンや、至高の領域にいる縁壱ですら、物理的な惑星規模の慣性には抗えない。 その混沌の中、運を使い果たした者がいた。「ただの死体」である。これまで偶然の流れ弾をすべて避けてきた死体だったが、地球自転停止による地殻変動で、巨大な岩盤が崩落し、その死体を完全に押し潰した。意識のない死体に痛みはないが、物理的に原形を留めないほどに粉砕されたことで、もはや「個」としての形態を維持できなくなった。死体は土へと還り、戦場から消えた。 "ただの死体"が脱落。残り6人 3人目の脱落 ☆ 再び静寂が訪れたが、それは嵐の前の静けさであった。シオンは完璧に気配を消し、#無在潜伏 によって全員の記憶から自分を消し去っていた。彼女は待機主義を貫き、相手が疲弊し、隙を見せる瞬間を待っていた。継国縁壱とBΒ.キセンは互いに牽制し合い、自称{ただの少年}は相変わらずのんびりと空中に浮かんでいた。 シオンは動いた。ターゲットは、気を読み取る能力に長けたBΒ.キセン。しかし、キセンは「気死回生」の状態にあり、万象の気を読み取っていた。シオンが潜伏から脱し、#間隙断ち を放とうとした瞬間、キセンはそれを完璧に予知し、直接止気によってシオンの気を揺るがそうとした。だが、シオンの不撓不屈の精神がそれを撥ね退ける。 激突の瞬間、シオンの刃がキセンの喉元に届く。しかし同時に、キセンの拳がシオンの腹部を貫いた。互いに致命傷を負ったかに見えたが、そこで【調停の光】が再び介入した。激しい衝突による衝撃波が【制限】を超え、判定が下る。キセンは自身の気を最大限に高めていたため、その反動で【縛り】が発動した。迫る攻撃がすべて一撃必殺と化す呪い。シオンのわずかな斬撃が、その呪いによって絶対的な絶命の一撃へと変貌し、キセンの生命活動を完全に停止させた。 【気死回生 -Revival of Spirit】 ΒΒ.キセンが脱落。残り5人 前半戦最後の脱落 ☆ 生き残ったのは、地球、【調停の光】、シオン、継国縁壱、そして自称{ただの少年}である。継国縁壱は、もはやこの戦いに意味を見出せなくなっていた。彼はただ、静かに刀を収めようとした。しかし、その隙をシオンは見逃さない。彼女は長時間の潜伏を経て、究極の技 #終極・無影一閃 を放った。 認識を完璧に切断され、防御も能力発動も許されない一撃。縁壱の「至高の領域」をもってしても、認識されない攻撃を回避することは不可能に近かった。しかし、縁壱は本能的にそれを察知し、身を翻した。刃はかすかに彼の頬を切り裂いたが、致命傷には至らなかった。だが、その際、縁壱の動きが【調停の光】の定める【縛り】に抵触した。あまりに速すぎる動作は、光の粒子にとって「不自然な歪み」として認識されたのである。 罰として、縁壱の全能力が一時的に制限され、その隙にシオンの追撃が彼を捉えた。不撓不屈の精神を持つシオンの冷徹な一撃が、縁壱の心臓を正確に貫く。日の呼吸の使い手であっても、認識の外からの死を避ける術はなかった。縁壱は静かに目を閉じ、満足げな微笑みを浮かべて、その場に崩れ落ちた。 【始まりの呼吸の剣士】継国縁壱が脱落。残り4人 後半戦へ 戦場には、もはや人間としての戦士はシオン一人となった。そして、理外の存在である自称{ただの少年}、裁定者である【調停の光】、そして彼らが乗る舞台である地球。シオンは静かに呼吸を整え、口元を覆う布を正した。彼女の目は冷たく、もはや勝利以外の結末を想定していない。 自称{ただの少年}は、面白そうにシオンを見つめていた。「君、なかなか根性あるね。でも、僕に意味があると思う?」少年が軽く指を鳴らすと、周囲の空間がガラスのように砕け散った。彼は「世」が誕生する前の者であり、現在のあらゆる法則を「既知の事柄」としてスルーできる。シオンの潜伏も、認識切断も、彼にとっては「子供のいたずら」に過ぎなかった。 一方、地球は極限状態にあった。戦いによる損耗が激しく、大気が薄くなり始めている。地球は最後の手段に出ようとしていた。【地獄へGO!】。太陽へと突撃し、すべてを焼き尽くすことでこの戦いを終わらせようとした。惑星規模の加速が始まり、猛烈な熱量と重圧が参加者を襲う。もはや個人の技量でどうにかできるレベルではない。宇宙規模の自死による心中である。 後半戦最初の脱落 ☆ 地球が太陽へ向かって加速し、猛烈な熱波が戦場を包み込んだ。シオンは不撓不屈の心で耐えようとしたが、肉体は物理的な熱に弱い。彼女の肌が焼け、意識が朦朧とする。しかし、彼女が絶望したのは熱ではなく、【調停の光】の裁定であった。 【調停の光】は、地球の自滅行為という「究極の過剰」に対し、最優先で【制限】を執行した。しかし、その執行対象となったのは、皮肉にも地球そのものであった。地球が太陽へ突撃するという行為は、この戦場における最大のルール違反であり、過剰な力の発露であると見なされた。光の粒子が地球の核に浸透し、その質量とエネルギーをすべて奪取し、魂ごと消し去る裁定を下した。 地球という惑星そのものが、光の一閃によって消滅した。舞台を失った参加者たちは宇宙の虚空に放り出されたが、地球という存在が消えたことで、その上の生物も、そして地球という「参加者」も同時に消滅した。宇宙に巨大な穴が空いたかのような喪失感と共に、舞台は消えた。 地球が脱落。残り3人 さらに1人脱落 ☆ 虚空に残されたのは、シオン、自称{ただの少年}、そして【調停の光】の三者である。もはや足場すらなく、概念的な戦いへと移行した。シオンは最後の力を振り絞り、#終極・無影一閃 を【調停の光】へと放った。裁定者を消せば、この不自由な【縛り】から解放されると考えたのだ。 しかし、それは最大の禁忌であった。【調停の光】自身を攻撃の標的にした者は、【縛り】を破った罰と【制限】を超過した罰を同時に受ける。シオンが放った一撃は、光の粒子に触れた瞬間、そのまま彼女自身へと跳ね返った。それは単なる反射ではない。因果そのものが逆転し、「シオンが自分を殺した」という結果が強制的に導き出された。 シオンは驚愕することなく、ただ静かに自分の身体が崩壊していくのを見つめていた。「気づいたら……私が倒れていた。残念だったね……」彼女は自嘲気味に呟き、光の粒子に飲み込まれて消えていった。彼女の不撓不屈の心さえも、絶対的な調停の理の前では無力であった。 シオンが脱落。残り2人 残り2人の激闘 最後に残ったのは、自称{ただの少年}と【調停の光】であった。少年は退屈そうに、目の前の光の集合体を見つめていた。「ねぇ、君。ずっとルール、ルールってうるさいけど、僕にとってルールなんていうのは、誰かが勝手に決めた空想の話なんだよ」 【調停の光】は無言のまま、少年に最強の【制限】を課そうとした。しかし、少年はそれを軽く指で弾いた。彼は「始まりより前の者」である。調停の光が司る「法則」や「制限」という概念が生まれる前から、彼は存在していた。後から作られたルールで、ルールを作る前の者を縛ることはできない。少年にとって、【調停の光】が放つ罰は、古臭い詩集の一節を読まされているような心地であった。 少年はゆっくりと手を伸ばした。彼がしたのは攻撃ではない。ただ、「この遊びはもう終わり」と定義しただけである。世界を終わらせる方法を所有する彼にとって、特定の存在を「なかったこと」にするのは、呼吸をするよりも簡単なことだった。光の粒子が激しく明滅し、調停の光は初めて「恐怖」に似た震えを見せた。あらゆる異能をすり抜けて屠るはずの刃が、少年の前では霧のように消えていく。 そして勝者は 【調停の光】は、自身の存在意義である「法則」が通用しない相手に直面し、その構造から崩壊し始めた。少年は優しく、しかし残酷に、光の集合体をひとつひとつ解体していった。光の粒子は悲鳴を上げることもなく、少年の掌の中で小さな星屑となって消えていった。 「さぁ、遊ぼうか、と言いたかったけど。もう誰もいないね」 少年はぽつりと呟いた。戦場は消え、仲間は消え、舞台となった惑星さえも消えた。完全なる虚無の中に、ただ一人、始まりより前の少年だけが取り残された。彼は満足げに欠伸をし、次の「遊び場」を探して、ゆっくりと歩き出した。彼にとってこの戦いは、ほんの一時の気晴らしに過ぎなかったのである。 WINNER 自称{ただの少年}