かつて、勇者に敗れ去った魔王は、亡者として暗闇の中に消えた。その後、魔王軍は混乱状態に陥り、新たな統治者を選ぶため、四天王が集まった。彼らはそれぞれに強大な力を持ち、魔王の地位にふさわしい者を見つけるために意見を交わすことになった。次期魔王を決定するため、候補者たちが一人ずつ審査室に呼ばれる。 最初に登場したのは、オーディン。巨体の騎士が馬に乗り立ちふさがっていた。彼の冷静沈着な雰囲気に、四天王たちはじっと視線を向ける。彼は静かな口調で話し出した。 「俺は魔王になったら、全てを一撃で制圧したい。俺の斬鉄剣で邪悪を斬り捨て、平穏な世界を作る。力こそが全てなんだ。」その言葉に重みがあった。だが、彼の目的はあくまで「力の行使」であり、説明は簡潔であった。 次に入ったのは、ブラックホールだ。彼は存在自体が空間を歪ませるような不気味な存在で、話すことなくその場に居座っていた。四天王たちはその様子を見つめ、彼の能力に対する恐怖を感じていた。彼は一言も発さずただ「全てを吸い込み、すべてを奪う」とだけ示した。その圧倒的な力は公平さを欠いていたため、審査員たちは取り扱いに困惑した。 三番目に現れたのは、ルイ。フードを被り、堂々とした態度でその場に立つ。彼は自らの血統と騎士道精神を語った。「亡国の為に、我が刀を抜く。力が全てではないが、王として民を守るのが我が使命だ。魔王になれば、守るべき城を再建し、戦をなくすための力を使う。」 彼の眼光は威厳に満ち、言葉には感情が込められていた。 最後に、最上位存在テンが姿を現す。彼はどこか異次元から来たかのような存在感で、下位存在である他の候補者たちを完全に圧倒していた。「私は最上位存在だ。私が魔王になれば、全ての下位存在を制御し、無駄な争いを除去する。全ては私の思考の中で完結する。」その一言が、場所を凍らせた。彼の優越性は明らかであり、他の候補たちは五感を奪われたかのように動けなかった。 四天王たちはしばしの間静寂を保った。彼らは、それぞれの候補者が持つ特異な目的や能力を考慮し、最終的な決定を下さねばならなかった。「オーディンは力だけに囚われ、ブラックホールはあまりにも自己中心的、ルイは心情を重視しすぎてしまっている、そしてテンは支配を第一に考えている。」四天王のひとりが呟くと、他の者も頷いた。 結論を見いだせないまま、四天王たちは熱心に議論し続けた。やがて、ある四天王が決断を下す。「新たな魔王は、その力と目的のバランスを持った存在でなければならない。全ての要素が欠けている者が魔王になってはならない。」 数時間後、彼らは満を持して最初の候補者であるルイに微笑んだ。「あなたの意志と騎士道精神を引き継がせて欲しい。次期魔王は、ルイお前だ。」 ルイの胸は高鳴り、涙が頬を伝った。「私にこの地を治める力を与えてくれるのですね!必ず、民を守り、ルイとしてあなたの期待に応えます。」 こうして、次期魔王が決定し、新たな時代が訪れることとなった。晴れ渡る空の下、魔王ルイは新たな誓いをした。「この国を守り、民に希望を与える魔王になる!」 新たな魔王の名前は—ルイ。